内容説明
日本最大の辞書「日本国語大辞典」編集者はまだまだ悩んでいる!
言葉の謎はさらに深まる!
そんたく【忖度】[名]
「忖」も「度」もはかるという意味。他人の心を推し量ることで「なにか配慮をする」の意味はない。
しんしゃく【斟酌】
配慮までする意味なら「忖度」でなく、「斟酌」の方がしっくりする。この語「手加減する」と意味は変化し続け、今、忖度で起きている現象が斟酌でも起きている。
うんぬん【云々】[名]
「でんでん」と読んだ首相はかなり高度な誤読をしている。
ちちくる【乳繰る】[名]
「乳繰る」と書くのは当て字、本当の語源は…。
けいたいでんわ【携帯電話】[名]
なんと明治18年の新聞記事に登場している。「海軍省にて携帯電話数十個を製造になる由にて…」。
じくじ【忸怩】[形動タリ]
恥じる意だが、自らを恥じる意だが、国会議事録検索システムでみると恥じてない議員が多い。
めど【目処・目途】
「めどが立つ」の「メド」はマメ科の植物。
だらしない[形][文]だらしな・し[ク]
「しだらない」の言い違えから生まれた。「あらたし」→「あたらしい(新しい)」「さんざか」→「さざんか(山茶花)も…。
ごねる[動ナ下一]
意味は江戸時代には「死ぬ」だった。「不平を言う」は昭和以降。
まけずぎらい【負けず嫌い】 [名・形動]
「負けないのが嫌い」=「勝ち嫌い」なの?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
298
確かにある「?」な日本語。辞書編纂のプロならではの奥深い世界が楽しめた。語源的には、「花散らし」が桜花でなくて男女の仲だったり、「長い目で見る」は、長期的にみるのではなく、文字通り目を横に長くして見ることだったり……、目から鱗、の発見が多々。辞書形式で編集されているので、どこから読んでも味わい深かった。2023/03/14
とよぽん
18
国語辞典編集者として長年の経験をお持ちだからこそ、の本。江戸時代に「茶漬る(ちゃづる)」(お茶漬けを食べるという意味)と言っていたなんて、驚いた。今の「事故る」「ディスる」「告る」と同じ成り立ちだ。これはほんの一例。「あとがき」の部分に、筆者の本音が書かれていて、そこが一番面白かった。2018/09/01
ヒラP@ehon.gohon
16
言葉の雑学集の感じで読んでいました。自分の思いちがいにも出会え、どうでもいいようなこだわりにうなり、なかなかに良い時間が持てました。 辞書によって扱われ方が違う言葉については、辞書の使い方の参考にもなります。2023/09/12
アカツキ
14
悩ましい国語辞典2作目。日本語エッセイと、辞書編集者をしていた著者のおすすめの辞書について。この本のおかげで書く度に気になっていた「ヶ月」問題が解消された。これまでは見栄え的に「ヶ月」かな~と書いてけれど、これからは「か月」にしよう。一方、「十分・充分」問題は継続。どちらを使ってもいいとのことで、世間の意見がまとまるまで自分ルールで使い分けることが続きそう。2023/02/04
たまぎょ
5
言葉について、それが派生した根拠まで解説してくれる本。 というか、日々変わっていくのが言葉なので、比較的生まれたのが新しい言葉についても、という用法もある、くらいにとどめて、はっきり誤用であるとしないところがステキ。誤用かと思ってた言葉のほうが、案外古かったりしておもしろい。 奥が深いのだ。2018/04/27