内容説明
今年、生誕150年という記念すべき節目の年を迎える岡本綺堂。『修善寺物語』をはじめとする戯曲作品や、『半七捕物帳』などの時代小説で、現在も多大な人気を博しているが、その一方で、幻想怪奇文学の名匠としても活躍した。本アンソロジーは、〈妖怪〉と〈怪談〉の両面から、綺堂の新たな魅力を検証する貴重な一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たいぱぱ
62
森見登美彦のエッセイで知った岡本綺堂、初読みです。江戸・明治風の怪談集と言ったところですが、100年程前の『近代異妖篇』を挿絵もそのまま収録した作品なので「風」ではなくて本物なのです。そう思うとこの読みやすい文体は当時の最先端だったのかな?と感じました。それ程怖くはない怪談ばかりですが、独特の味があります。その味が怪異の裏側を妄想させてくれます。ふと気付くの「ふと」は「不図」なんだ!なるほど!とか、昔は女の人も「かれ」と言ってたんだとか、その時代の空気や風俗にも触れた気がしてワクワクしました。2023/02/04
藤月はな(灯れ松明の火)
60
多くは再読。禁を犯した者への罰を静かに語る「青蛙神」。その禁とは古から伝わるも廃れつつあった信仰のたった一人の信者を弑した事である。神にとって信仰とは神意を有す自分の存在に関わるもの。信者がいなくなれば神も消失してしまう。果たして神は信者の仇を討ったのか、はたまた・・・。「鰻に呪われた男」は異食者の悲哀を縁付く予定だった者の立場から語っている。しかし、行きついた境遇が当事者にとってどう思っていたのかが明確でない。その点が関係性が断絶したからこその気に掛ける、しかし、その正しさを証明できないという事を示す2024/05/21
NAO
59
岡本綺堂の怪談アンソロジー。岡本綺堂が怪談や巷談などに力を入れるようになったのは、関東大震災によって家と書物や日記、原稿類のすべてを焼失したことが大きな要因となったようだ。怪談なら詳しい文献資料なしでもなんとか書けるからだ。 このアンソロジーでは、『近代異妖篇』の八ツ井舜圭の挿絵も初出のまま収載されている。なかなか不気味なのが、「猿の眼」「筆塚」「影を踏まれた女」。「赤い杭」と「停車場の少女」は異界からの何者との繋がりが描かれているが、「赤い杭」ではなぜ一軒だけが杭を抜かれたのかが気になる。2022/11/09
mittsko
8
文学・文芸の高みが、ど素人のボクにもわかる…(*´ω`*) 怪談綺談の類いと軽んずることなかれ やっぱり名を残す文学者の筆力は、凄いのだなぁと感じ入った次第 ※ 並行して、田中貢太郎『日本怪談実話〈全〉』も読んでいた 本書著者の岡本と、田中は全く同時代人 ともに怪談綺談で名を上げた ボクには正直、田中の文芸の才がよくわからなかった 一方、岡本の才は実にあらわだと思われました 実話怪談というより創作怪談のうえで、歴史的価値が大いにある、と思われました2023/08/12
冬桐
8
東さん編著の文豪アンソロジー! 大好きな岡本軌道ということもあり、値段を見ずに購入(レジに行ってびっくりした笑) 内容はしっかり綺堂節が詰まっていて本当に怖いし楽しいしい笑 1番最初の『青蛙堂奇譚』はやっぱり名作中の名作。 そして私が好きなんだけれどもゾッとしている『鰻に呪われた男』も入っていて本当に満足。 岡本綺堂の作品は、多数あるけれども、まずはこのアンソロジーから手に取って、世界を楽しむのもよし、夏のお供にするのよし。 欲を言えば、是非『半七捕物帳』など、綺堂お得意のミステリーもアンソロジーを求む2023/07/10
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