内容説明
パンデミック下、日本に長期滞在することになった「旅する漫画家」ヤマザキマリ。思いがけなく移動の自由を奪われた日々の中で思索を重ね、様々な気づきや発見があった。「日本らしさ」とは何か? 倫理の異なる集団同士の争いを回避するためには? そして私たちは、この先行き不透明な世界をどう生きていけば良いのか? 自分の頭で考えるための知恵とユーモアがつまった1冊。たちどまったままではいられない。新たな歩みを始めよう!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
229
ヤマザキ マリは、新作(但し、漫画以外)中心に読んでいる作家です。著者が、地球の生物で一番支配欲の強い生き物 と称する人類に関して、コロナ禍で書いたシリアスなエッセイ、国民性の違い等、色々考えさせられます。ノマド的な著者は、コロナ禍でかなりストレスを溜めていると思われます。 https://www.chuko.co.jp/special/yamazakimari/2022/11/09
そら
82
ヤマザキマリさんの考え方はとても好きだ。様々な国での生活がありながらも、驕らず、押し付けず、俯瞰で物事を見るところは思考に偏りがなく、ただただフラットだ。日本には八百万の神が宿り、物事に意味を見出だしがちだが、意味を持ちすぎることは時に重みとなる。昆虫をこよなく愛し、ただ生きるというを見本とし、人間も地球上で共に生きる有機物であるということになんだかほっとする。日々、これで良いのか?と意味を考えすぎるより、食を楽しみ、安全に感謝し、欲張り過ぎず淡々と暮らしていくことでも良いのだと、気持ちが楽になれた。2023/01/14
キムチ
70
自然災害、パンデミックは太古の昔から繰り返し地球に降りかかってきた・・受け止める側はその社会により多彩な場面を作り災禍を残す。世界に足跡を残してきている筆者ならではの文化論はなまじっか「マスコミ寵児のシッタカブッタ」より遥かに頭に入りやすい。想定外を受け止める力は島国日本には弱い・・大海に浮かぶ毛虫みたいなちっぽけな存在ゆえに自然の驚異を受けやすい反面、鎖国状況で「爛熟」ともいえる文化を生み出したがその反面を一考させられる記述があちこち。好奇心は生きるばね、とにかく歩き出すのが身上の私には目から鱗本に。2024/08/29
Nat
61
図書館本。この本では、パンデミック下で立ち止まって考えたところから、少しずつ歩き始めて考えた様々なことが書かれている。予定調和についての考察では、私自身も影響を受けていることを強く感じたので、自分の本質を失わないようにしなくてはと思った。また、コロナを経て日本社会が少し変わるかとも思っていたが、そうでも無さそうなので、マリさんがおっしゃっているように、「正しさ」への疑念や情報を見極める力をもたなくてはと改めて感じた。水溜りに嵌った場合にどうしたらいいか想像力を稼動できる人間になりたい。2023/07/02
ムーミン
60
今並行して読んでいる「冒険の書」とリンクする部分が多くて、これからの教育について深く考えるきっかけになりました。2023/06/04