ちくまプリマー新書<br> 大都市はどうやってできるのか

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ちくまプリマー新書
大都市はどうやってできるのか

  • 著者名:山本和博【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684356

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内容説明

東京やニューヨークのような都市はなぜ生まれるのか? 大都市が繁栄を極めるかたわらで、地方は過疎の一途をたどっている。輸送技術と情報技術の発展により世界の都市化が急速に進むいま、人々が集まる原理から現代の課題まで、都市経済学から考える。

目次

はじめに 都市を研究する
第1章 なぜ都市ができるのか
1 自給自足の時代
2 交易がもたらす変化
「比較優位」と「機会費用」
3 労働生産性が重要な理由
4 分業による協業と規模の経済
技術革新が起こるとどうなるか
この節のまとめ
5 同じ産業が一つの地域に集まると生まれる地域特化の経済
マーシャルの経済
集積によるリスクの低減
消費者の誘致
6 大都市ができあがることで利益が生まれる都市化の経済
労働者が集まるメリット
公共財の充実
第2章 「多様性」と「輸送費用」の役割
1 輸送技術の発達と費用の低下
2 日本の都市化から見る人口移動の重要性
3 多様性が大都市で果たす役割
多様性が高まりやすい場所
「中間投入材」の多様性
スキルの多様性
4 消費の多様性(多様性と集積1)
輸送費用が下がると起きること
最初の小さな差が大きな差になっていく
歴史的な偶然
一方には損をする人も出てくる
5 中間投入財の多様性(多様性と集積2)
6 スキルの多様性(多様性と集積3)
7 輸送費用の低下は現在も止まっていない
第3章 集積と経済成長
日本のGDPの移り変わり
1 経済成長のメカニズム
資本蓄積
技術の進歩
人的資本の蓄積
2 日本の高度成長期に起きた集積
第4章 少子化と都市
1 少子化の原因
夫婦が子供の数を決める要因
子供にかける教育費
賃金水準の上昇
女性の賃金水準の上昇
消費財の多様性と子供の数
子供を持つことと消費活動を天秤にかける
2 都市部で出生率が低くなる原因
都市の生活費と出生率
多種多様な消費財が大都市の子供の数を減らす
大都市で高くなる教育費
都市と地方における女性の賃金格差
第5章 情報通信技術の発達がもたらすもの
1 都市における知識やアイデアのやり取り
知的な生産活動では顔をあわせることが重要
2 本社機能を地方へ移すことにメリットはあるか
3 出会うことのなかった人々の新たな結びつき
新たな情報伝達技術は都市の役割をむしろ強化する
第6章 東京は本当に大きすぎるのか
1 適正な人口水準
賃金と通勤費用と土地の価格
都市に住む人の数と土地の価格の関係
人口が増えることのメリットはあるか
集積の経済の効果を計測することは難しい
東京の人口規模が大きすぎるはっきりとした証拠はない
2 東京一極集中と過疎化する地方
一極集中と過疎化を是正することに合理性は本当にあるのか
少子化は理由になりうるか
おわりに
参考文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yyrn

30
書名をみて、そりゃあ誰だって利便性を求めて集まったところが町になり都会になるんじゃん!そんな子どもにも分かることを、何を論じるのかと読み始めたが、学者の書き物らしく、都市の成り立ちから説き始め、「比較優位」と「機会費用」の話とか、「多様性」と「輸送費用」の役割とか、日本の高度成長期に起きた集積とか、少子化と都市の関係とか、コロナ禍で一気に普及したリモートワークなどのICTの発達が地方移住を促すとの言説は幻想であるとか、ICTはむしろ人と人が結びつく機会を増やしていくなどの話はいちいち頷きながら読めたが⇒2022/12/26

kei-zu

30
都市化のプロセスは、歴史学や社会学からのアプローチが多いかと思うのですが、本書は「空間経済学」から切り込む。 鉄道の開通が都市部の拡大に寄与してしまう「ストロー効果」も、その是非はともかく、経済的合理性に基づくものと提示される。 折もおり、西九州新幹線が鳥栖から武雄温泉まで未開通の状態で開業した。報道では、未開通部分は地元にメリットが少ないからという。いろいろ考えさせられます。2022/09/25

ヒナコ

19
人口と生産活動が集積し大都市が形成されるという人類史の中で頻発する現象を、近代経済学的に説明した作品。以下のような都市化についての説明が、本書の中でなされている。 ある場所が都市化すると、そこに資本と人がさらに集積していく。それは、生産規模を大きくした方が生産効率が上がるという「規模の経済」と、都市の中に多様な業種が形成され生産に必要な労働力やサービスの提供が簡単になるという「都市化の経済」によって説明できる。→2024/09/29

奈良 楓

17
【良かった】需要と供給など、経済学から大都市がどうやってできるのかを論じた本。そのため、この本の出す答えは原因の1つであって、経済学以外の要因のすべてをおさえているわけではありませんでした。経済理論からのものの捉え方を学ぶには勉強になる本2023/03/26

まゆまゆ

17
東京や大阪といった大都市がうまれた歴史を紐解いていく内容。空間経済学から輸送コストの低下によって人々を集めていくことで、生活範囲の利便性がどんどん向上し、結果都市がうまれる。2022/10/27

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