ちくま新書<br> 嘉吉の乱 ──室町幕府を変えた将軍暗殺

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ちくま新書
嘉吉の乱 ──室町幕府を変えた将軍暗殺

  • 著者名:渡邊大門【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/09発売)
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  • ISBN:9784480075048

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内容説明

嘉吉の乱とは前代未聞の室町幕府将軍の暗殺事件。籤引き将軍・足利義教は専制的な強権政治、「万人恐怖」と呼ばれた守護や公家への理不尽な仕打ちを行い、その死は「自業自得」とまで書かれた(伏見宮貞成『看聞日記』)。将軍殺害は幕府と守護の関係に大変化をもたらしたが、事件にいたる背景には社会的な混乱も大きかった。旱魃や風水害による飢饉、重税、大規模な土一揆の頻発。大地震、疫病の流行による不安。幕府による抑えがきかなくなった守護や守護代の台頭。のちの下克上時代の到来を予兆する嘉吉の乱。その全貌とは。

目次

はじめに
第一章 室町幕府と守護赤松氏
鎌倉幕府の滅亡から建武政権誕生まで
室町幕府の誕生
地方組織と守護制度
赤松円心と播磨
円心の挙兵
円心の功績
建武政権下からの離反
円心と尊氏の反乱
義貞との死闘
範資と則祐
則祐と幕府
則祐と義満
室町幕府と赤松氏との関係
第二章 赤松満祐播磨下国事件
三代将軍・足利義満
土岐康行の乱
山名氏の家督問題
明徳の乱の勃発
応永の乱と大内氏
応永の乱前夜
応永の乱の勃発
室町幕府と赤松義則
義満の死と新将軍・足利義持
弟・義嗣との関係
赤松満祐の父・義則の最期
三尺入道
三カ国守護職の行方
赤松春日部家について
揺らぐ満祐
赤松春日部家・持貞の厚遇
遁世者の密告
義持と持貞、蜜月の終わり
許された満祐
年貢の返還請求
矢野荘への過重な負担
播磨下国事件の不可解
第三章 籤引きで選ばれた新将軍
足利義持の後継者問題
籤で選ばれた将軍
将軍の正統性
政治に意欲的だった義教
恐怖に口を閉ざす公家たち
将軍・義教と鎌倉・持氏の対立
持氏の不穏な動き
永享の乱はじまる
持氏の最期
大和永享の乱──国人同士の紛争が拡大
土岐持頼と一色義貫の討伐
幕府における満祐の活動
山城守護を兼ねた満祐
和歌に通じていた満祐
満祐邸に足を運んだ義教
満祐と松ばやし
義教の播磨訪問
報恩寺・圓教寺の訪問
赤松貞村について
将軍と貞村の親密交際
赤松満政について
申次になった満政
比叡山の強訴
満政の所領など
満政と和歌・連歌
将軍に仕えた赤松氏庶流
第四章 社会情勢の変化──天災と疫病の時代
世情不安な時代
旱魃による大損害
続く矢野荘の損亡
災害の時代
一揆と疫病の時代
正長の土一揆
守護赤松氏の土一揆対応
困るのは耕作地の放棄
播磨国土一揆の後遺症
白旗舞い降りる
赤松氏に迫る危機
満祐、悩乱する
第五章 嘉吉の乱勃発する
あっという間の凶行
義教の首
自業自得──辛辣な義教評
初動が遅い幕府側
祈願を依頼
一丸になれない幕府側
反乱は計画的だったか
南朝・小倉宮
観応の擾乱と足利義尊
井原御所と称された僧侶
満祐が義尊を擁立した理由
満祐は天下を狙ったのか
播磨へ下向した幕府軍
満祐を利するニセ情報
赤松満祐は朝敵か
天皇自ら綸旨を添削
後花園が政治に示した意欲
序盤戦の勢い
進撃の幕府軍
追い詰められた赤松氏
誰が誰の首を獲り、誰が逃げたか
第六章 戦後処理と赤松氏の衰退
無残な梟首
生き残った子供
伊勢に逃亡した教康
恩賞の割り当て
足利義尊の運命
播磨国守護山名氏による支配
猛悪至極、虎狼のごとき支配
山名氏による支配の特徴
幼帝の早世でもっと幼い後継者へ
文安の乱と赤松満政
朝鮮半島へ渡った謀叛人・則繁
赤松則尚の台頭と山名持豊の没落
則尚の最期
生き残った赤松氏庶流
第七章 赤松氏、復活への道のり
赤松氏再興のキーマン政則
赤松政則の深い教養
禁闕の変で奪われた神璽
山名氏と細川氏、禁闕の変への関与
畠山持国の管領職復帰
赤松氏旧臣を巻き込んだのは誰か
赤松氏再興の中心人物
長禄の変の端緒
作戦に細川勝元の影
決死の潜入作戦
神璽奪還への道
神璽の帰洛
赤松氏、表舞台へ
備前国新田荘への入部
赤松政則の苦闘
赤松氏重臣・浦上則宗の台頭
守護代層が発揮した実力
文正の政変──斯波家の家督問題
文正の政変勃発
応仁・文明の乱と赤松氏
赤松政則の逃亡
重臣から総スカン
政則復活を後押しした人物
義政の無能ぶり
将軍権力、守護権力の失墜
おわりに
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

96
足利六代将軍義教が赤松満祐に殺された嘉吉の乱は、万人恐怖と呼ばれた強権政治が原因とされてきた。しかし事件までには赤松氏の内部対立や、災害や土一揆などの続発で悩乱状態にあった満祐が、将軍との対立も重なって心身とも追い詰められていた状況があったのだ。専制権力者の義教も発作的な叛逆に対処できず、大名を抑制を図った統治が逆に仇となった。幕府が弱体化して応仁の乱を招いて実質的に戦国時代の幕開けとなったが、その混乱に乗じて滅ぼされた赤松氏が復活するのだから、中央政権が存在したとは思えないアナーキーな世情が見えてくる。2023/01/31

みこ

24
嘉吉の乱「前後」の話。つまり、赤松家と足利家の因縁を通じて紹介。戦国時代の始まりが応仁の乱と言われているが、その応仁の乱の火種である細川勝元と山名宗全の対立は嘉吉の乱の戦後処理から始まっている。つまり、戦国時代の本当の始まりはこの乱なのかもじれない。後年、戦国時代真っただ中にほぼ同じことを松永久秀もやってる。赤松家の系図が巻末でも巻頭でもない中途半端な頁に書いてあるのが面倒くさかった。新しい名前が出てきても誰の何?といちいち見返さなければならない。親の顔より見た足利家の系図はばっちり巻頭に載っているのに。2022/10/23

ようはん

22
室町六代将軍足利義教の暗殺で知られる嘉吉の乱のみならず室町時代における赤松氏の歴史も語られている。満祐の行動は赤松氏が壊滅的になった末路からすれば賢いとは言えないのだが、義教の苛烈な守護大名粛正に対して疑心暗鬼に陥るのも無理なく精神的にも病んでいたともなると同情もしたくなる。2022/10/31

MUNEKAZ

22
タイトルから受ける印象と違い、著者のライフワークという赤松氏の紹介がメイン。なので「嘉吉の変」に絞った考察を期待すると肩透かし感も。ただ「赤松氏」という戦国大名に成りそこなった守護大名の顛末には、興味深いものがある。思うに変の一番の余波は、残された将軍の後継者が幼子しかおらず、政治的空白が生まれたこと。転じて将軍権力の持つ調停機能が弱まり、畠山や山名、細川らの闘争に歯止めがかけられなくなったことにあると。ただ家格意識も強く残っているので、幕府の枠組みが根本的に崩壊するには至らなかったか。2022/10/02

nishiyan

18
室町幕府六代将軍足利義教が暗殺されたことで知られる嘉吉の乱。首謀者である赤松氏の歴史を詳らかにすることで室町幕府誕生から衰退までの歴史を紐解く新書。応仁の乱以降に顕著になったかと思っていた守護代による下剋上の萌芽が嘉吉の乱にあったという点は面白かった。乱で討伐された赤松氏が守護代の浦上氏や小寺氏の支持がなければ立ち直れなかったことは興味深い。複数の守護国を持つ大名の権力基盤の弱さは本来武士が土地と結びつくことで力を持っていたことを考えるとさもありなんと思った。2022/11/25

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