内容説明
婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
1327
大人になってから出会った人の過去って意外と気にしないから、本当かどうかは考えてみたら怪しいものだ。真実の失踪がなければ架も知らないままだった。傲慢で善良だと思いこんでいる人々を辿り見える愛する人の思ってもみなかった一面。思い込み、決めつけ、プライド、偏見、自己愛、利己的で軽率な言動、本音。相手を思ってと見せかけ自分が可愛いだけとか、自分を守る方向に持っていく等、色んな場面で心当たりがあり痛いところを突かれました。架パートと真実パートで同じ場面も印象が違い、読了後架は好きになったけど真実は嫌いになりました。2023/03/03
Apple
1073
知らないうちに肥大していく自己愛が、恋愛を歪めていく怖さを感じました。架や真実が陥った「傲慢さ」はきっと誰もが犯しうるものだと思いました。人々があまり結婚しなくなったのは、自分自身にのみ関心を持つ人が増えたからかもしれないと思いました。物語の結末は、丸くおさまってよかったんじゃないかと思います。「傲慢さと善良さ」について、結婚相談員が語るところとか、架と真実の両方の視点を描いている点が説明的すぎると感じました。恋愛における傲慢さと善良さとは何が、読者が想像できる余地を設けてもいいのにと思いました2022/12/25
ちくわ
991
冒頭ミステリーっぽいが、多側面から描かれた令和の結婚観だよねコレ? よく考えてみると、傲慢も善良も普遍的な価値感では無い。相対的だし、尺度や程度の問題だし、具体的な定義は無い。なのに、我々現代人に重く圧し掛かっている。価値観は自分と他人の間で確定するけど…今は他人が多過ぎて、判断基準も複雑過ぎて、状況に応じて細かな線引きが求められる。表向きは多様性を謳う社会だが、結局八方美人の仮面を被らされているだけな気も。素顔に自信のある人か、器用に仮面を被れる人が結婚し、仮面を被るのが不器用な人には辛い時代なのかも。2025/07/21
イアン
982
★★★★★★☆☆☆☆婚活のリアルを生々しく描いた辻村深月の恋愛ミステリ。ストーカー被害を訴えていた婚約者・真実が失踪した。その鍵が彼女の過去にあると睨んだ架は、男性遍歴を追って彼女の故郷・群馬へ向かうが…。作中に幾度となく登場する「傲慢」と「善良」の文字。婚期を逃した男女をワゴンセールに喩える感性は、残酷ではあるが鋭い。中盤までほぼ会話のみで進行するため展開力は乏しいものの、一つの嘘が露見する辺りに最大の驚きがある。ミステリというよりは、恋愛小説としての心理戦やその先にあるカタルシスが胸を熱くさせる作品。2023/02/01
エドワード
811
タイトルからジェイン・オースティンの結婚狂騒曲を連想する。18世紀イギリスの作品が喜劇なのに対し、現代日本の結婚と恋愛の混迷さがリアルだ。東京で生まれ育った優男・西澤架と、群馬で生まれ、小さな世界で育ってきた坂庭真実。婚活アプリで出会った二人の中の傲慢と善良が、オセロゲームの如く交互に現れる見事な構成。誰の中にも傲慢と善良がある。優位に立とうとする傲慢。素顔の善良。群馬で完結している真美の母の傲慢まで描かれるところが強烈だ。結婚仲介人・小野里夫人の金言「結婚がうまくいくのはビジョンのある人」が光るね。2022/10/05
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