内容説明
伊尹の狙いは夏と商の和親だったが、時代の流れはこれを許さず、ついに夏と商は激突することになり、夏王朝は滅亡する。湯王は商王朝を開くが、伊尹の仕事はまだ終わりではなかった。(解説・齋藤愼爾)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
88
伊尹は、夏王桀のライバルとして台頭してきた商の湯王からの三顧の礼を受け、彼の家臣となる。伊尹の狙いは、夏と商の和親だったが、時代の流れはこれを許さず、夏と商は激突し、夏王朝は滅亡する。湯王は商王朝を開くが、伊尹の仕事は果てしなく続くことになる。この時代は、甲骨文と金文しか存在せず、史料の空白部は作者の類推と想像で書くしかない。まさに。作者の強い矜持や決意を感じずにはいられない。この作家がいて、この時代を知ることが出来た幸せを読んでいて強く感じた。読み易くはないが、やはり中国の歴史は面白い。 2022/10/04
James Hayashi
37
時代的に甲骨文字や金文しか存在していない時代なので、少ない資料を駆使し想像力豊かな著者の世界に引き込まれる。霊的、占術は科学がない時代のリーダー的存在であろう。そのような秘力を持つ人間の魅力が現実的に伝わってくる。三国志や水滸伝とは異なる古代中国であった。2018/03/04
姉勤
29
古代チャイナの商(殷)の湯王を補け、夏王朝からの易姓革命を成し遂げた後も、数代の王を補佐した宰相、伊尹( 摯)の物語の佳境。いち早く兵車と冶金の技術で周辺国を圧倒した商が、覇道ではなく王道を踏むことができたのも、彼の神がかった能力であるとした伝説に、人間たる血を通わせる物語として織り上げた。心地よい余韻。善人も悪人も、境遇と因縁によって一寸したズレが争う術ない人格と作り上げていく。そして悪となれば情状酌量なく滅ぼされていく。その無情感も悪人の誉として描かれる著者の骨頂。2026/05/21
Tomoichi
23
湯王、夏王桀、昆吾氏三つ巴の中、伊尹は湯王を支える。夏王に囚われる湯王、脱出そして昆吾氏との死闘、夏王との最後の戦い。桀を追放し湯王は商王朝を開き伊尹はその礎を築く、紀元前1562年の物語。2016/01/20
ALATA
20
商王の湯は三度有辛の野に向かった。三国志の「三顧の礼」の原型は、摯に対する湯であると書かれてある。う〜ん、なるほど!中国の古譚、古代史に題材を取り諸国の外交と逆巻く陰謀、智略の攻防、伊尹の成長譚としても読み応えがあった。★4 2021/01/25




