日経プレミアシリーズ<br> 「強い円」はどこへ行ったのか

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日経プレミアシリーズ
「強い円」はどこへ行ったのか

  • 著者名:唐鎌大輔【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 日経BP(2022/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784296115068

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内容説明

これは、日本に対する最後の“警鐘”かもしれない。
市場が放つメッセージの真相を解説。

急速に進んだ円安。
「国内外の金利差が原因だ(米国の利上げによるドル高の裏返しだ)」
「日本が売られているのだ」
「今回は悪い円安だ!」
「やがて日本国債も暴落する!」
さまざまな議論が交錯するなか、2022年5月には20年ぶりに1ドル=130円台をつける。その後も軟調気味に一進一退を続け、「50年ぶりの円安水準」に直面した。
果たして今回の円安はなぜ起こったのか?
円安の何が悪いのか?
つまるところ「円安は日本売り」であり、「経済低迷に根本的な手を打たない日本政府に対する市場からの警鐘」である。現状の為替の動きは「日本回避」の兆候であり、まさに「買い負け」は今の日本を的確に表現している。日本(円)経済が岐路に立たされていることを象徴しているということだ。
そして、円安で得をするのは、輸出や海外投資の還流に近いグローバル大企業だけで、内需主導型の中小企業や家計部門にはデメリットが圧倒的に大きく、結局、円安は両者の格差を拡大する。言い換えれば、今回の円安は、日本における優勝劣敗を徹底する相場現象と認識すべきかもしれないのだ。

本書は定評あるアナリストが、今回の円安の構造的要因を冷静に分析しながら、将来に向けて捉えるべき課題をコンパクトに整理。為替を軸にみた日本経済の置かれた現状を解説する緊急出版。

目次

第1章「成熟した債権国」の夕暮れ

第2章 円安功罪論の考え方――危うい安易な善悪二元論

第3章「安い日本」の現状と展望――観光立国は必然なのか?

第4章 本当に恐れるべきは「家計の円売り」――「おとなしい日本人」は変わるのか?

第5章 日本銀行の財務健全性は円安と関係があるのか?

第6章 パンデミック後の世界の為替市場――通貨高競争の機運

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よしたけ

67
みずほ銀行エコノミストが昨今の円安背景を紐解く。資源輸入国の日本にとり、高資源価格で経常/貿易収支悪化が宿命づけられ、「成熟した債権国」が「債権取り崩し国」へと近づくことを意味。対外純資産構造も変化しており、経常黒字の主柱が貿易から第一次所得収支へ変化(海外投資など「外貨のまま戻ってこない円割合増」)。類似構造とされてきた独だが、単一通貨ユーロという「永遠の割安通貨」で貿易黒字を稼ぎ続ける同国とは同じ道を歩めない。他方、貯蓄から投資へが奏功した場合、誰が国債消化するかに警鐘をならす。俯瞰的視点が身につく。2023/02/06

kk

23
図書館本。近頃の円安状況について、足下の短期的な材料からでなく、もう少し深いところ、例えば日本経済の構造や的な変遷や、国際経済主体としての発展段階といった角度から考えてみる試み。交易条件や投資状況などのデータを示しつつ、ここ十年間ほどの間に不可逆的で質的な変化が生じている可能性を示唆。ドグマティックでない、抑えた口調の緻密な語り口が著者の真摯な姿勢を感じさせます。門外漢のkkには書かれているのとの当否は判断できませんが、今後の金融のあり方について思いを巡らす際の、良いヒントをもらったように感じられました。2023/01/28

magic makky

15
本書は2022年の上半期に書かれており、当時はコロナ禍が世界的にも収束に向かいつつあり人の行動制限をなくしている流れにあった。ただ、日本の岸田政権は海外からの入国を制限している鎖国状態にあった。その後の岸田政権の支持率や円安、そして物価の高騰となっている現在から改めて本書を読むと、控えめな記述をしているが、今日を予言しているようで驚いた。また、本書で岸田首相が進めようとしている、“貯蓄から投資へ”は仮に預金が、日本の株式ではなくドルや海外株などに投資が進む可能性もあり、それによって円安が進んでしまいそうだ2023/12/02

templecity

13
強い円から近年は弱い円で物価高。日本人も貧困に慣れてきたという。ドイツと似ていると言われるが、筆者によれば全然違う。輸出が増えても通貨が強くなることも無いので永遠に輸出に有利な状況は変わらない。移民も受け入れており少子化を補っている。 2023/02/21

tonnura007

12
現在の円安について、「中長期的な腐りにくい議論」を前提にわかりやすく解説した書籍。 まえがきに「中長期的な腐りにくい議論を」とあるように近視眼的な考え方ではない内容なので、2022年9月に発行された書籍だが今読んで古いという感じは全くなかった。むしろ、ここで論じられているような内容をしっかり理解することで、今後将来に起こる為替の変化について自分なりに考察できるようになると思う。金融や証券関係の職業でないと目にしないようなデータを詳細に提示して解説されており、説得力十分と感じた。2024/02/05

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