ポプラ文庫<br> 二木先生

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ポプラ文庫
二木先生

  • ISBN:9784591174869

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内容説明

どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

fwhd8325

147
ちょっと薄気味悪い小説です。でも、とても面白いです。ある意味、新鮮さが引きつけます。この物語がどのように決着するのかが楽しみでした。その点で言えば、一ひねりも二ひねりもあって、見事です。街中にこんな奴らがいると思うと、やっぱり薄気味悪いや。2023/07/17

のいじぃ

137
読了。周りから浮いている併合グレーの高校生が自身をペドと自覚し成人向けの雑誌にロリ漫画を描いている担任を執拗に追い回しながら自身を確立させていく物語。読み手に問題として考えさせるよりも「多様性」という答えありきの上これでもかと詰め込んでくるため閉口せざるを得なくなる。また成人向けのロリ漫画を許しているのは出版社でありその言い分として同類のガス抜き、二次元だから何でもありと言う免罪符が存在する。見方を変えれば逆も然りだが。広一が自身を内省的だと言う割には反省もなく鬱積を一個人にぶちまける姿は不快感しかない。2024/02/23

machi☺︎︎゛

96
浅井リョウさんの本によくある普通って一体何なの?みたいのを掘り下げて一つの話にしたみた。というような感想。お互いに秘密を抱えた男子高校生と美術の先生。爆弾を抱えながらのスリリングなやり取りや家にも学校にも安全な場所はない緊張感は読んでいてこっちまで緊張した。昔は普通という言葉を特に何も考えずにみんな普通に使っていた。今は自分が普通という言葉を使う度に何かしらの違和感を感じるけどこういう本を読むと少し答えがわかる気がする。2024/02/18

みかん🍊

89
普通と違う変わり者といつも浮いていた広一は担任の美術教師二木先生の秘密を知ってしまう、均衡した駆け引きの中、小説を書く事を進める二木先生を信用していないながら書き上げてしまう、マイノリティを隠して上手に普通の皮を被って生きる二木と普通になれないが特別でもいたい広一、人は誰でも少しは普通の皮を被っているのかもしれない、自分を好きになる行動をとる、しかし他人を決して傷つけないそんな断固とした意志を貫く事が大切。2024/01/30

dr2006

73
中刷り全面広告の様な煽り文句に覆われた装丁はポプラ文庫らしからぬ。ポプラの優しくて安心する系の作品ラインナップからはかけ離れていると思うが、ポプラ社小説新人賞を受賞している。目を背けたくなる設定に対し、起承転結の落差が大きく切れ味も良いので、怒涛の面白さとか編集者驚嘆等の派手な宣伝文句も許容だ。主人公の広一は自分が普通ではないと分かっていたが、偶に抑えられず早口で自己アピールをしてしまう為クラスの中で浮いている。あんな秘密を隠しているのに…、担任の二木が「生徒の標準」へ媚びる様な接し方に反感を持っていた。2024/03/17

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