文春文庫<br> 女たちのシベリア抑留

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文春文庫
女たちのシベリア抑留

  • 著者名:小柳ちひろ【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 文藝春秋(2022/09発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167919375

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内容説明

大きな反響を呼んだ「戦争と女性」に迫るノンフィクション。

シベリア抑留者の中に女性捕虜が存在したことは、長く歴史の影に埋もれてきた。戦後七十年以上沈黙してきた女性たちの貴重な証言集。

終戦直後、満洲や樺太などにいた軍人や民間人など60万人近い日本人がソ連によって連行された「シベリア抑留」。その中に数百人から千人近い女性捕虜が存在したことは、長く歴史の影に埋もれていた。関東軍の陸軍病院で勤務していた従軍看護婦や軍属として働いていたタイピスト、電話交換手、開拓団の民間女性、そして受刑者たちが、極北の地シベリアに送られていたのである。その中には「女囚」として10年を超える抑留生活を送った女性や、日本に帰る場所もなく異国の地で人生を全うした者もいる。帰国を果たした女性たちにとっても、故国の人々のまなざしは決して温かいものではなかった。

戦後70年以上、長く沈黙を守ってきた女性たちをインタビューすることに成功し、2014年にNHK・BS1スペシャルで放送されたドキュメンタリー「女たちのシベリア抑留」は、文化庁芸術祭賞優秀賞、放送文化基金賞奨励賞、ATP賞テレビグランプリ優秀賞、ギャラクシー賞奨励賞、NHK放送総局長特賞など、その年のドキュメンタリー部門の賞を総なめにした。その番組を担当した女性ディレクターが綴る本格ノンフィクション。ロシア側から初めて提出された女性抑留者の記録「登録簿」の内容も明らかになる。

※この電子書籍は2019年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

28
女性がシベリアに抑留された話は知りませんでした。本人たちへの取材により実情の一端が見えるように感じました。平田さんの青酸カリの話は臨場感があり恐ろしかったです。2025/02/06

奏市

21
予想通り生半可な内容じゃなかった。終戦しても戦争は終わっていなかったんだと思い知らされる。主に満州にいた看護婦たちがソ連兵によりシベリアの収容所に連れて行かれ現地で労働に従事し帰国するまでの話。連れていかれる前、何かあった時には潔く自決できるよう日本人婦長から一人一人青酸カリを渡された際の反応。ある人はそれを心強く感じ、ある人は上の指示でそれを使わされる死の恐怖を感じたと。現地の生活ではロシア人との交流で優しさを感じられる場面も多々あったよう。逆に日本に帰ると赤とか強姦されてるはずとか偏見を受ける苦難も。2023/10/09

Meme

18
女性目線での戦争をテーマにしたノンフィクション。元々ドキュメンタリー映像だったものを言語化したもので、映像で伝わるものを如何に言語化するかは非常に難しいものなんだと感じました。そんな中で大変臨場感を覚える内容になっています。歴史を知ると、今のいくつかに矛盾を孕んでいるようにも感じます。それでも世界は予定調和で過ぎ去っていくのだなあと思うと、もっと気楽に生きようじゃないかとホッとしますね。膨大な資料とインタビューをもとにした本著は、大きな成果です。とっつきにくいテーマかもしれませんが、ぜひ一読を!2022/09/29

JADE

17
シベリア抑留の悲惨さについて、少しは知ってるつもりでいた。でも女性も抑留されていたことは全く知らなかった。筆者は、日本だけでなくロシアでも、限られた資料を丹念に読み解き、可能な限り証言を集めている。そのきめ細かい取材に感服した。それでも記録に残らなかった女性の方がずっと多く、判明したことはとても少ない。事実を強調することなく淡々と書かれている文章に、抑留された女性たちの過酷な状況が浮き彫りにされているように思えた。忘れちゃいけないこと、伝え残さなければいけないことは、きっとまだたくさんあるんだろう。☆42024/07/07

もっぱら有隣堂と啓文堂

14
シベリアに抑留された女性たちがいたとは考えたこともなかった。無知だったなと思い知らされた。旧満州北部ジャムスの陸軍病院看護婦の話が軸だが、開拓団員の引揚がソ連軍や地元住民の襲撃、集団自決、ソ連兵への女性差出しなど多くが悲惨な逃避行となった一方、彼女たちは軍と行動を共にしたためそのほとんどが貞操の危機もなく無事に帰国でき、結果としてよい選択となった。最終章は、家の借金のかたに朝鮮に売られ、裁判の結果シベリアの収容所へ送られ、心の底では帰国を願いつつ異国に身を埋めた女性の物語で非常にやるせない。読んで損はない2022/09/30

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