ちくま文庫<br> 病める母親とその子どもたち ――シック・マザーを乗り越える

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ちくま文庫
病める母親とその子どもたち ――シック・マザーを乗り越える

  • 著者名:岡田尊司【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480438034

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内容説明

うつや不安障害、パーソナリティ障害など、近年増加する子育て世代の心の病。不安定な親に育てられる子どもたちは、発達や人格形成において、どのような困難に直面しているのか。世代を超えて連鎖する悲劇を断ち切るには何が必要なのか。精神科医として、特に「愛着」の問題に取り組んできた著者が、生きづらさを抱える母と子、双方の葛藤に寄り添い、克服の道を探る。

目次

はじめに/第一章 シック・マザーとは何か/「太陽みたいなお母さんでいてほしかった」/子どもを問題にするだけでは終わらない/必要性を増すシック・マザーの視点/シック・マザーが増える背景/シック・マザーに多い基礎疾患・障害/時期による影響の違い/シック・マザーを母親にもつということ/母親を責めるためではなく母親も救われるために/ある個人的な事情/第二章 シック・マザーの問題はどう理解されてきたか/ウィニコット以前/ウィニコットの貢献/妹の首を絞める少年/ボウルビィの貢献 愛情 奪から愛着理論へ/虐待、ネグレクトとの関係/三分の一の子どもが不安定型愛着を示す/縦断研究で明らかとなった広範囲な影響/疾患ごとの視点からシック・マザーという視点へ/第三章 シック・マザーと不安定型愛着/なぜ親子関係がうまくいかないのか/うつのときは子どもに対して愛情がわきにくい/スキンシップがないと生きていけない子ども/子どもは常に親の反応を必要としている/甘やかしてはいけないという思い込み/過保護も愛着を歪める/臨界期の存在/下の子どもほど深刻な影響を受けやすい/三人の子どもの母親、Yさんのケース/時期によって、性質の異なる臨界期がある/愛着のタイプ/養育者の関わり方が愛着パターンを決める/混乱を自らコントロールしようとする子ども/さまざまな問題行動の背後にある不安定型愛着/遺伝要因と育てにくい気質/同じ遺伝子が有利にも不利にも働く/不安の強い気質とセロトニン・トランスポーター遺伝子/大人の「愛着障害」/第四章 シック・マザーと子どもの発達/シック・マザーとADHD/発達障害と紛らわしい場合も/幼い頃ほど発達への影響が大/主体性をもち始めた頃、虐待も起きやすい/言語的発達、社会的発達への影響/自閉症が疑われたケースも/発達障害が疑われた女性のケース/反応の乏しさは人間関係を遠ざける/シック・マザーと子どもの不適応/第五章 シック・マザーと子どものパーソナリティ/子どもの適応メカニズムがパーソナリティの偏りを生む/ネガティブな認知と低い自尊感情/サバイバー症候群/無秩序型愛着の子どもがたどりやすい経過/依存性パーソナリティ/自己犠牲的な娘/「ここにしか居場所がないと思った」/回避性パーソナリティ/「人間関係には何も期待していない」/境界性パーソナリティ/境界性パーソナリティ障害と無秩序型、両価型愛着/遺伝要因と環境要因の相互作用/「私をなぜ抱いてくれなかったの」/第六章 シック・マザーの特性と背景/1 シック・マザーの特性と養育態度/シック・マザーによく見られる傾向/シック・マザーと虐待のリスク/シック・マザーと愛着障害/シック・マザーと発達障害/シック・マザーと自己愛障害/2 母親になることへの葛藤/背景にある心理的葛藤/シック・マザー自身がサバイバーである/分離の危機と同一化の危機/予期しない妊娠、母親になることへの抵抗/女性精神科医のケース/3 シック・マザーと家族/家族の問題としてのシック・マザー/家庭内で負の連鎖が起きる/夫婦関係を損なうことで、子どもにさらに影響が/夫婦関係を破壊する要因/弱体化する母親を支える基盤/第七章 シック・マザーがかかえる疾患、障害/背景因による分類/1 シック・マザーとうつ状態/母親のうつ病/産後うつに特徴的な症状/双極性障害がひそむことも多い/産後うつのリスク要因/注目が集まる妊娠うつ病とその影響/妊娠中のうつは男の子に影響しやすい/一過性のうつと慢性のうつ/2 双極性障害/母親の双極性障害(躁うつ病)/3 境界性パーソナリティ障害/増加する境界性パーソナリティ障害/その影響と背景/4 アルコール、薬物依存症/胎児期の影響は想像以上に深刻/薬物依存の母親では、母子関係自体が崩壊しやすい/親子の対面は、精神科病院だった/希望的な予後を示すデータも/5 不安障害/神経症の母親/6 自己愛性などのパーソナリティ障害/7 身体疾患/弱っていく母親/8 統合失調症などの精神病性障害/統合失調症の母親/「友達を家に呼べなかった」/子どもが親の保護者となるケース/「お母さん、お薬飲んだ?」/繰り返される不在/歪んだ認知の影響/子どもへの影響を最小限にするために/9 母親の入院/母親の入院という非常事態/子どもの発達への影響/10 親の自殺/深刻な親の自殺の影響/母親の自殺の方が影響が大きい/罪を背負わされた少女/早期の介入が重要/第八章 シック・マザーを克服する/シック・マザーの支援と克服/前向きな意味を与え、進むべき方向を示す/親の呪縛を解く/二つのケースが教えてくれること/梅毒の父親を捨てたジョルジュ・バタイユ/父親の思い出を大切にし続けたハンナ・アーレント/あるサバイバーの場合/それは、永遠のテーマ/おわりに/文庫版あとがき/解説 咲セリ/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カッパ

7
前にプログで紹介されており気になっていた本。ようやく読むことができた。母親は精神疾患が正確にはくだってなかったけど、幻視がみえたり、いつも死にたいとか癌になったといい、否定的な言葉を繰り返していた。その影響が自分にでたのだと思うことで納得できたところもある。また、怖いのは自分自身がうまくアルコールと距離をとれていないこと、それから気持ちが落ち込みやすいところである。これらが子供に影響を与えたら怖いと思った。克服のなかで自分が他者とつながるところが今後の課題になると感じる。2023/02/15

ねこた

2
これはそのままうちの家庭だと思った。私にも当てはまってた(私はシックマザーの持ち主の方)。どうやってシックマザーと距離を取るかもだいじだけど、どうやって病気の私と病気の母親がお互いに克服できるかもキーパーソン。皆ジレンマの中で生きてる。2024/01/23

ney

0
22023/05/22

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