内容説明
刻まれた傷跡と隠された死因。
死してなお語りつづける骨たちの声に耳を澄ます──。
DNA鑑定も利かないとき、「骨」の分析は最後の砦。
解剖学・法人類学の世界的権威が冷静な筆致で解き明かす、人体の不思議とそれを支える骨に秘められた多様性とは?
生々しい犯罪捜査の実録譚も収録した迫真のドキュメント。
《頭蓋骨~足先のあらゆる骨片から遺体の身元と人生の物語を読み解く、スリリングな知的エンターテインメント》
--------------------------------------
本書はみなさんを、人体を巡る旅にお連れする。
人の人生や経験がいかに骨に書き込まれているか。
その物語を科学の力でどんなふうに明らかにするか。
そこではきっと、驚くような事実に出合えるだろう。
まさに、事実は小説より奇なり。
--------------------------------------
【目次】
■序章………骨格
第一部 〈頭部〉頭蓋骨
■第一章……脳の容れ物(ブレイン・ボックス)──脳頭蓋
■第二章……顔──顔面頭蓋
第二部 〈体〉頭蓋骨後中軸骨格
■第三章……背骨──脊柱
■第四章……胸──胸郭
■第五章……喉──舌骨と喉頭
第三部 〈四肢〉頭蓋骨後付属肢骨格
■第六章……胸帯(肩帯)
■第七章……骨盤帯
■第八章……長骨
■第九章……手
■第十章……足
尾部
謝辞
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
42
新刊コーナーから。たまたま法医学の本を読んでいたので興味を持って手に取りました。スコットランド出身、今年オクスフォードのセントジョンズカレッジ学長になる予定の解剖学者さんによる回想録ともとれる事件簿です。淡々とした語り口で、真実を突き止めるための科学のあり方も、国によって色々違うのかもなあ…と背景をもっと知りたくなりました。2022/08/02
petitlyz
19
【図書館で借りた】スコットランド出身で、法医解剖学および法人類学の世界的権威。今はイギリス貴族院議員のスー・ブラックが、これまで自らが扱った様々な骨についてを語っている。子供の骨を鑑定しなければならない事案は読むのが辛かったが、基本バイタリティとユーモアのある著者で、なんとか読了できた。どの骨ももちろん重要だけれど、若年の年齢を特定できる鎖骨の説明や、外傷や栄養状態、ストレスによって、後からでも特定できるほど骨に変化が残るのは興味深かった。充実した価値ある内容で、人体の不思議さに畏れ入った。2023/08/21
よしじ乃輔
10
法人類学者。遺体の一部から身元を割り出す事が主実務。時に古墓の発掘を行い、1センチ未満の骨を相手に泥臭国コツコツと積み重ねる仕事なのだそう。ゾッとする殺人事件や作業風景に目が行きがちですが、著者とこの仕事の歩み、責任感とユーモアで包んだとても良いノンフィクションです。災害や事件の被害者の身元や秘められた歴史の正体が特定される貴重な分野だと思います。イギリスでの小児性愛者身元特定システムの開発にも携わられたのもこの知識あってこそ。謙虚さと熱さを兼ねた著者に敬意を表したいです。2023/08/26
inarix
9
女性法人類学者を主人公にしたアメリカの犯罪捜査ドラマ「BONES 骨は語る」が好きな人には特にお薦めのノンフィクション。完全な白骨のほか、腐乱、バラバラ、焼死体etc.現場に残された被害者の“骨”から証拠を見つけ、事件を解決に導いていくスコットランド生まれの法人類学者スー・ブラック氏が頭蓋骨から背骨、四肢までの旅のなかで、いかに骨が人の人生や経験の痕跡を残し、死後も雄弁に語るのかを明らかにしていく。母親の子宮のなかでの成長から死ぬ瞬間まで、一生を通して変化を続ける骨。驚くべきその構造の世界のすべて!2022/12/26
vonnel_g
5
法人類学というのは結構新しい学問なのだろうか。知らない分野だと思ったのだけれど、ドラマ「BONES」に法人類学者が登場するのだそうだ。現実はドラマのようにスッキリ解決しないというエピソードも多数掲載されている。骨からさまざまな事実がわかるということは勿論、解剖学上人体のあらゆる部位に名称があるということを知った。お尻の割れ目にあんな立派な名前がついているとは。「発見するのはいつも犬の散歩中」なのはスコットランドに限らずかもしれない。2022/09/20