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内容説明
古代より中国・四国地方は、大陸への窓口である九州と近畿とをつなぐ、人や文物、情報が往来する回廊であった。山陰、瀬戸内海の南北岸、太平洋岸の回廊が3本並び、気候や地形も違う。この多様さが、密に込み入った歴史を形成したのである。特定の地域名を象徴的に意識しつつ、古墳や国府のような列島共通のテーマと、弥生墳丘墓、鉄生産、古代山城、出雲大社など地域に顕著なテーマとを往復しながら、日本列島古代の歴史像を多面的に浮き彫りにする。
1章 山陰・瀬戸内・土佐 松本武彦
2章 製鉄技術の開発と普及を担った中国地方──古墳~奈良時代を中心に 村上恭通
3章 弥生墳丘墓と巨大古墳 新納 泉
4章 国府と鋳銭司 加藤友康
5章 古代の出雲──出雲大社、風土記、そして境界への認識 大日方克己
6章 瀬戸内の古代山城 亀田修一
ESSAY 「出雲大社」の古代的断想 千家和比古
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊動する旧石器人
1
2022年8月29日初版発行。献本頂く。本書名は出雲・吉備・伊予だが、中四国の弥生時代〜古代を扱った1冊。考古学的なものが4本、文献史学的なものが2本収められており、中四国の「古代」を描くが、両者の叙述的なものの開きは否めない。また、専門性よりも概説性に重きが置かれており、広く学べる反面、深くはない。個人的には、古代山城以降の古代を考古学的に述べたものが1本欲しかったように思い、逆に原史時代の文献史学的論考も欲しかった。しかしながら、こうしたシリーズものは重要であり、更新しながら受け継いでいきたい。2023/01/24
佐々木大悟
0
通り道だからこそのドラマがそこにはあった。弥生時代~平安中期の中国・四国地方を、製鉄・古墳・貨幣鋳造・城郭、そして出雲大社について最新の研究成果を反映したトピックスで概観する一冊。倭国における大陸からの玄関・九州と畿内を結ぶ位置関係により、中国・四国地方にも濃厚な古代史が築かれていたことを実感する。現代の大都会から見ると往来が不便な位置関係にある出雲大社が、本邦のなかでも大きな存在感を持っているのはなぜか。以前から抱いていたそんな疑問に対するヒントを得られた気がして面白かった。2023/11/16