内容説明
「聞けや、者! 前右大臣ここにあり!」
本能寺の変から生還し、関ヶ原合戦で柴田勝家を下し、天下獲りを目前にする信長。だが、密かに伊達政宗、上杉景勝と手を組み力を蓄えた家康が、ついに叛旗を翻す!
異貌の戦国史長篇(未完)、待望の合本版。
短篇時代小説「葉桜」を収録。
【目次より】
信長伝
Ⅰ 本能寺炎上
緒言
転換点
序 本能寺炎上
一 その日まで
二 猟狗たち
三 第一次関ヶ原合戦録
Ⅱ 天下普請
一 築城
二 大海の彼方で
三 叛逆
四 要塞
Ⅲ 家康謀反
一 城塞
二 到着
三 衝突
葉 桜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宇宙猫
17
★★★★★ 非常に面白いけど途中で投げ出す作家なので読まないと決めてたのに、読メの感想で心がゆらいでしまった。やっぱり面白いし、ボリュームがあったので未完でもわりと満足できたかな。転生チートなんか無くても、本能寺を生き延びるだけでここまで書けちゃうのはさすがだな。歴史を振り返る体で書かれているので。現代のミリ用語で説明されて分かり易いのも良かった。どうやって北米を平らげるのか読みたかったな。2024/07/01
ドッケン
11
本能寺で信長が死ななかった世界を描いた物語で、さもありなんといったフィクションでしたが、よくできた内容でとても面白かったです。2023/03/21
臓物ちゃん
9
本能寺を生き延びた信長による天下統一ものの架空戦記なんてものはこの世にゴマンと存在するが、ほとんどはもっぱら武将のキャラ性に注目した活躍劇に終始したものばかり。しかし本作は流石の佐藤大輔は目の付け所が違うというか、信長という変数を使って銃撃・砲撃を中心に16世紀の戦争技術をどこまで革新出来るか、それにより欧州中心の世界史をどこまで塗りつぶせるかというかなりアクロバティックな歴史改変に仕上がっている。なにしろ対地対ミサイルまで登場するんだから『へうげもの』もビックリ!改変日本の飛躍を夢想出来る一冊。2022/12/15
葉月
5
めっぽう面白いが...織田信長が本能寺の変を生き延びた結果、日本がアメリカ大陸まで進出し覇権国になった世界で書かれた信長の伝記という込み入った体裁を取る作品。この体裁のおかげで改変された歴史を垣間見せながら、現代からの視点で歴史に解説を加えることができている。時代小説としては珍しくとにかくシュミレーション重視な作品で、なぜこのような展開をたどるのかがとにかく理詰めで語られる。特に合戦においてそれが顕著であり、一般の歴史小説にように個々の武将の活躍が語られることはあまりなく(例えば一騎討ちは全く出てこない)2024/10/11
エラリー
3
まずは日本がアメリカ大陸に進出した後に大陸側が独立(つまり現実における英米の関係)したという架空世界があって、そこから過去の分岐点となった本能寺後の信長の活躍を眺めるという設定。日本統一後はスペインと対決する展開も匂わされており、なんともワクワクを誘う大風呂敷なのだが、残念ながら家康との決着すらつかないまま未完。作者が生きてたとしても続きは書かなかったのだろうが…。2024/06/04