闇で味わう日本文学 - 失われた闇と月を求めて

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闇で味わう日本文学 - 失われた闇と月を求めて

  • 著者名:中野純
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 笠間書院(2022/06発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784305709554

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内容説明

『源氏物語』、『今昔物語集』、『雪女』、『舞姫』……。
時代を超えて愛される名作には、印象的な「闇」の場面が登場することが多い。
目の前の人の顔も見えない闇とほのかな灯り、怪しいモノの存在を感じさせる山道の真っ暗闇、夜を明るく照らす神秘的な月の光など、人工的な明るさに慣れた現代人にはなかなか想像しにくいものもある。

そんな文学作品の闇の舞台を“闇案内人”である著者が実際に歩いたり、暗くした室内で線香花火を楽しんだりと、五感をフルに活用して雰囲気を体感。
時に恋人たちの逢瀬や詩情を盛り上げ、時に幽玄味に彩られた怪異・伝承を生み出した「闇」という物語装置にスポットを当て、作品世界をより深く楽しむ新しいアプローチを紹介してくれる。

夜の小倉山登山から平安時代の肝試し跡地の散策、古の灯り・油火を身近なもので再現してみたシミュレーションまで盛りだくさんの16章からなる、ユニークな「日本文学体験案内」

目次

【目 次】
巻頭カラー口絵
はじめに
第一章●肝試しの歴史―闇と戦うツワモノたち
(『大鏡』、『十訓抄』、『今昔物語集』、『吾妻鏡』)
第二章●光る茸とかぐやの梯子―八月十五夜には月と地球がつながる
(『竹取物語』『夜の寝覚』『今昔物語集』)
第三章●冬の屋内で線香花火を囲む―座敷花火と寒手花火
(寺田寅彦『備忘録』、正岡子規『俳句稿』)
第四章●ヒグラシと暮らし、ヨアカシと明かす―万葉の蝉
(『万葉集』、内田善美『ひぐらしの森』ほか)
第五章●小倉山と嵯峨野の真っ暗闇を歩く(一)―関西の都は闇放題
(紫式部『源氏物語』、吉田兼好『徒然草』、『小倉百人一首』)
第六章●小倉山と嵯峨野の真っ暗闇を歩く(二)―夜の鳴き声に心を澄ます
(『小倉百人一首』、西行『山家集』)
第七章●月の飲みかた、捕まえかた―月遊びの世界
(土井晩翠「荒城の月」、西行『山家集』)
第八章●雪女は水女―小泉八雲の闇を歩く
(小泉八雲『雪女』)
第九章●望遠部屋とムーンルーム―天の川流域で暮らす
(小林一茶『七番日記』ほか)
第十章●月を直視するなら裏三日月―有明待と今月今夜
(『和泉式部日記』、菅原孝標女『更級日記』、清少納言『枕草子』、尾崎紅葉『金色夜叉』)
第十一章●無月・雨月も月のうち―大正ロマンと少女の夜
(野口雨情「雨降りお月さん」、加藤まさを「月の沙漠」)
第十二章●よばいの闇といにしえの透明人間(一)―なぜ夜にやるのか
(紫式部『源氏物語』)
第十三章●よばいの闇といにしえの透明人間(二)―松の照明を嗅ぐ
(『今昔物語集』)
第十四章●二重の行灯闇の中で―モーモー時から十三夜
(泉鏡花『高野聖』)
第十五章●昔の街灯は火の鳥だった!―舶来の闇を照らす
(芥川龍之介『舞踏会』、森鴎外『舞姫』)
第十六章●おとめの百夜連続単独ナイトハイク―闇富士に恋した娘
(乙女峠の伝説再話)
おわりに
おもな参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

47
副題は「失われた闇と月を求めて」。日本文学の夜の描写に注目し実際にその夜を体験してみる本。例えば『大鏡』の道長の肝試しに倣って現在の京都で同じ場所を夜歩いたり、行灯や油火の灯りを試したりする。確かに古典には夜の描写が多いし、夜の自然が好きな私にはそれが魅力だったのだと気づかされて嬉しくなった。小さい頃、家に縁側があってエアコンがなかった時代は庭先の闇もお月様ももっと身近だった。夏は庭で花火したり障子で影絵したり。著者の言う通り夜こそ自然との不思議な一体感が味わえる。今年の夏はもっと夜闇を楽しもうと思う。2022/06/07

pirokichi

25
著者は体験作家で闇歩きガイド。片桐はいりさんとのEテレスイッチインタビューの「闇に溶ける感覚」「空間に完全に負けている気もちよさ」「丁寧に見ないことを丁寧にやる」などの発言に惹かれて手に取った。本書は闇案内人である著者が『大鏡』『今昔物語』『源氏物語』『雪女』など日本の物語の舞台となった、月がもたらす日本のやわらかな闇を探り、闇の視点から日本文学を味わう。「月は、有明の東の山ぎはに、細くて出づるほど、いとあはれなり」(枕草子)。本書にすっかり影響されて、旧暦と月齢がわかるアプリをダウンロードしてしまった。2022/09/14

チューリップ

6
闇とあるから怖い感じの本なのかなと思っていたけど、文学作品に出てくる闇の描写を見ながら同じ景色を体験してみるという感じだった。暗闇の過ごし方を紹介している本かな。大河ドラマ見ているから最初の方の道長兄弟が肝試しをしていた話とかイメージしやすくて面白かった。室町時代には富士山に登っている人がいたとか知らなかったのでそんなに昔から登っている人がいるんだと驚いたし一番印象に残った。2024/08/23

田中峰和

6
万葉集から小説、随筆まで幅広いジャンルの日本文学にスポットを当て闇の扱われ方を研究する。そのユニークさは、作品のなかで闇がどんなものだったかを追体験するため同じ場所で闇の世界を見に行くところ。きっかけは、小泉八雲の「雪女」の舞台を歩くことだった。東北のイメージがあるが、実は青梅が舞台らしい。青梅の金剛寺からスタートし、川辺の渡し跡が雪女の出現地。当時とは違う街並みでも気分に浸れて、昔の追体験ができると確信したという。肝試しの歴史は古く、「大鏡」の舞台になった京都や、「竹取物語」の舞台も追体験している。2022/07/17

真夏日和

3
実話怪談が大好きですが、夜に読めません。 それはやはり夜の闇にひそむモノたちがいるのではないかと思っているからだと思います。 『闇で味わう日本文学』は副題が“失われた闇と月を求めて”で暗闇がただ怖いだけじゃない美しさや畏怖のようなものだと、改めて思わせてくれたとても面白い読書でした。 文学をひとつの方向から読んで批評する仕方にも通じるし、これから闇を感じて読むのは面白いかもと思います。 2024/05/02

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