内容説明
ウクライナ危機を契機に世界中に資源リスクが広まっている。エネルギー研究の第一人者が、複雑な対立や利害を内包するこの問題を地政学の切り口で論じ、日本がどのような政策や外交を行い、安全保障上の危機に対峙していくかを提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
114
著者とは長いお付合いである。エネルギー問題を無責任に発言する論者が多い中で、取引や国際環境を熟知した小山さんは、日本を代表するオピニオンリーダーである。マスコミは原油価格が急騰すると騒ぎ立てるが、本書の中でも、2020年4月にWTIの原油先物価格が10ドル台(一時的にはマイナス37ドル)に下落した事象がしっかりと指摘され、ウクライナ危機と第一次石油危機が状況的に酷似しているとの分析は、小山さんらしい視野の広さである。脱炭素化社会への道程において、エネルギー安全保障問題が複雑化し重層化する難しさを痛感する。2022/09/28
kawa
35
2022年時点の世界のエネルギー事情のお勉強タイム。アメリカはシェール革命により自給体制を確立、中東は余剰生産能力を武器に市場のコントロールを目論む。ロシアが主要供給元であったヨーロッパ(イギリスを除く)は、ウクライナ戦争によって需要量確保に窮地。中国はエネルギー消費量世界一(シェア26%)、石炭消費が高い(シェア54%)、日本は原子力のエネルギー構成比は2%(基本計画では20~22%)、等。この後の推移や展開、今話題のベネズエラやガイアナの有望な海底油田問題も知りたいところ。2026/02/21
ベンアル
17
本屋併設のカフェで本を借りて一気読み。ガソリン料金が上がった原因、エネルギー安全保障、カーボンニュートラルについて詳しく説明している。また、主要国のエネルギー事情や近年の外交関係もまとめられている。日本の中東への石油依存率が90%という数字が衝撃的だった。原子力、再生エネルギーの活用、天然ガスの採掘などエネルギー自給率を上げるために課題はたくさんある。2023/11/25
とある本棚
13
近年のエネルギーに関わるトピックを概観するには手堅い一冊。学術的というよりは、日々の新聞のニュースを整理し直したという印象。ただそのことが悪いということは全くなく、ニュースで見る各事象が相互にどのように関係しているかをざっと理解できる。脱炭素の流れの中で石炭石油の上流への投資が減少傾向にあったが、ウクライナ戦争でエネルギー安全保障が再び脚光を浴び、エネルギーミックスの再検討が進められているとのこと。欧州では、小型モジュール炉を中心に原子力回帰も見受けられる。翻って日本は今後どういう針路を取るか注視したい。2022/12/06
hiyu
8
ウクライナを中心としたエネルギー問題について触れてあり、なかなか硬派な内容である。返す返すも海外に依存するだけでなくいわば偏在するかのような状況、安全保障問題を含めたエネルギーバランスの問題等喫緊の課題がてんこ盛りであった。2023/08/03




