内容説明
ウクライナ危機を契機に世界中に資源リスクが広まっている。エネルギー研究の第一人者が、複雑な対立や利害を内包するこの問題を地政学の切り口で論じ、日本がどのような政策や外交を行い、安全保障上の危機に対峙していくかを提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
113
著者とは長いお付合いである。エネルギー問題を無責任に発言する論者が多い中で、取引や国際環境を熟知した小山さんは、日本を代表するオピニオンリーダーである。マスコミは原油価格が急騰すると騒ぎ立てるが、本書の中でも、2020年4月にWTIの原油先物価格が10ドル台(一時的にはマイナス37ドル)に下落した事象がしっかりと指摘され、ウクライナ危機と第一次石油危機が状況的に酷似しているとの分析は、小山さんらしい視野の広さである。脱炭素化社会への道程において、エネルギー安全保障問題が複雑化し重層化する難しさを痛感する。2022/09/28
ベンアル
16
本屋併設のカフェで本を借りて一気読み。ガソリン料金が上がった原因、エネルギー安全保障、カーボンニュートラルについて詳しく説明している。また、主要国のエネルギー事情や近年の外交関係もまとめられている。日本の中東への石油依存率が90%という数字が衝撃的だった。原子力、再生エネルギーの活用、天然ガスの採掘などエネルギー自給率を上げるために課題はたくさんある。2023/11/25
とある本棚
11
近年のエネルギーに関わるトピックを概観するには手堅い一冊。学術的というよりは、日々の新聞のニュースを整理し直したという印象。ただそのことが悪いということは全くなく、ニュースで見る各事象が相互にどのように関係しているかをざっと理解できる。脱炭素の流れの中で石炭石油の上流への投資が減少傾向にあったが、ウクライナ戦争でエネルギー安全保障が再び脚光を浴び、エネルギーミックスの再検討が進められているとのこと。欧州では、小型モジュール炉を中心に原子力回帰も見受けられる。翻って日本は今後どういう針路を取るか注視したい。2022/12/06
hiyu
7
ウクライナを中心としたエネルギー問題について触れてあり、なかなか硬派な内容である。返す返すも海外に依存するだけでなくいわば偏在するかのような状況、安全保障問題を含めたエネルギーバランスの問題等喫緊の課題がてんこ盛りであった。2023/08/03
dexter4620
5
日本、米国、欧州、中国、ロシア、中東を中心にウクライナ戦争後のエネルギー問題について言及する一冊。エネルギーの純輸入国と産出国の違いを述べ、それを現代の国際関係に落とし込んで解説してくれる。2024/02/23
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