筑摩選書<br> 「魂」の思想史 ──近代の異端者とともに

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筑摩選書
「魂」の思想史 ──近代の異端者とともに

  • 著者名:酒井健【著者】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 筑摩書房(2022/08発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480015747

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内容説明

合理主義と功利主義を基調とする近代。ゴッホ、ニーチェ、ボードレールから岡本太郎、三島由紀夫まで――、彼らは時代の趨勢に齟齬を覚えつつ、魂の声に引き寄せられ、思策と表現を行った。曖昧で無限定な概念でありながら、人々を揺り動かしてきた「魂」とはいったい何か。人間の内部と外部を通わせるその働きに、著者は現代人が見失ってしまったものを看取する。近代の異端者を通して生の息吹に触れる異色の思想史。

目次

まえがき──魂、その捉えがたさ、その恐ろしき魅力/もやもやとした何か/輪廻転生と彼岸/ソクラテスの告白/無知の知/魅惑する魂/第1章 ゴッホ/三度の大きな苦悶/働く神/カルヴァンの霊魂論/ゴッホの愛/神をよりよく知るために/絵画、兄弟、神と愛の二重性/廃墟の教会と墓地に咲く花/魂を実体化するカルヴァン/メランコリー/自然界の自律的な動き/果てしなき麦畑/自己批判、自己愛、そして大いなる静けさ/第2章 ニーチェ/天体の音楽と魂の浄化/魂の際限を、君は歩いて行って発見することはできないだろう/神と自然の二元論/終わりのない虚無/ニヒリズムの正体/『悦ばしき知』/我々の肉体は多数の霊魂の共同体にすぎない/大いなる厳粛さと精霊たちの笑い/悪霊を呪うか、肯定するか/悪循環の神から瞬間の思想へ/神々の到来/踊る神の哀愁/近代の引き裂かれる魂/第3章 ボードレール/二つの鐘、二人の詩人/「たくましい喉」と「たくましい精神」/進歩のための芸術か、芸術のための芸術か/無用性の美学/知られざる面/違いを呈示する/かつての彼らを想起させる/「取り返しのつかないもの」/踊る魂/群衆と孤独/一九三〇年代の受容/第4章 初期ドイツ・ロマン主義と両次大戦間の前衛たち/フロイトを先取りするヘーゲル/ヘーゲルとロマン主義/近代の夜明けと夕暮れ/二人の前衛的なヘーゲル解釈者/「夜」のヘーゲル/初期のドイツ・ロマン主義/世界霊魂のゆくえ/諸力の自由な戯れ/夜を讃える/ロマン主義の限界/ニーチェと自然の内奥/ピカソの精霊体験/民族誌学のインパクト/バタイユのゴッホ論/「われわれのねらっているのは、癌のように痛みのない革命だ」/第5章 日本人留学生の軌跡/近代の底力/異文化のなかへ/抽象画という解決策/対極主義とその背景/岡本太郎のトロカデロ体験/近代人の冷たい厚み/陰翳礼讃/夜を継承する/二人の挫折/無形の文化/大理石のエロス/軽やかな旅人の魂/和辻哲郎の『風土』/洪水の二つの感覚/第6章 大和魂の根源へ/二つの魂/大和魂のルーツ/外国人の感受した日本の宗教性/神道の魂/イザナミの穢れとイザナギの逃避/殯/耳なし芳一と平家の怨霊/恐山にて/久高島の大ウタキ/イヌクシュク/最後の三島由紀夫/大対立/言霊/あとがき/主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobi

72
合理的精神と“生の奥底の不合理な力”とを対比させて西欧史を鮮やかに繙いた著者(『ゴシックとは何か』)が、“魂”という些か前近代的ワードで日欧の芸術家思索者を括ってしまう。“霊魂思想の漫遊“とエクスキューズあるけど、この切り口牽強付会では?と当惑しつつも、第1章「ゴッホ」と最終章「大和魂の根源へ」は鮮明な印象。ゴッホの風景画から太陽という象徴的存在が失われていった経緯。“際限のない滅びの現象を諾って生きる姿勢”としての“大和魂”を、杵築(小泉八雲)、ウタキ(岡本太郎)、閑雅な庭(『天人五衰』の一節)に見る。2017/06/24

Go Extreme

2
魂、その捉えがたさ、その恐ろしき魅力 もやもやとした何か 輪廻転生と彼岸 ソクラテスの告白 無知の知 魅惑する魂 ゴッホ: カルヴァンの霊魂論 メランコリー 自己批判、自己愛、そして大いなる静けさ ニーチェ: 天体の音楽と魂の浄化 神と自然の二元論 終わりのない虚無 ニヒリズムの正体 我々の肉体は多数の霊魂の共同体にすぎない 近代の引き裂かれる魂 ボードレール: 進歩のための芸術か、芸術のための芸術か 無用性の美学 初期ドイツ・ロマン主義と両次大戦間の前衛たち 日本人留学生の軌跡 大和魂の根源へ2022/01/03

Kumiko Fujiwara

1
個人的魂と全体的魂の間で揺れ動いた近代の芸術家に関する考察。2019/08/04

林克也

1
魂とは、その人の中に元からあるのではなく、周りとの関係性の中に立ち現れるものなのではないか。だから、この本で取り上げられた同じ人が、もし違う国や時代に生まれていたら全く違うことを言ったり行ったりしただろう。それはそれとして、ここに取り上げられた人々の言葉や行動は、解釈の仕方、受け取り方によっては毒にも薬にもなる、危険なものでもあり貴重なものでもあると思う。2014/12/24

buriki

0
哲学とかの前知識がなくて一回読んだだけだとわかりきらなかった。まえがきから始めて「あれ?スピリチュアル系?」とちょっと危ぶんだが、全然そんなことはなく、ただ文章にしづらいな…(笑)著者の言うとおり、もやもやとした何かについて書いた本。ハッとして理解できたようなそんなような…なにかこう、大事なものは書いてある気はする。何度も読むとわかってくる気がする。他の方、もっとうまい的を得たレビューをお願いします。2013/07/14

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