出版社内容情報
第1部
進化する資本主義と「物象化」
ブッシュのアメリカ「無限の正義」への欲望
脱国境化する「帝国」とイラク戦争
第2部
アメリカ政治思想における「自由」と「共同体」
「民主」と「愛国」のプラグマティズム
脱構築の政治:アメリカ左派とデリダ
アメリカ「憲法」に潜む〈帝国〉と共和主義
第3部
ドイツにおける新保守主義の台頭
大きな物語も小さな物語も終わった
近代知の超克を訴えた廣松構想のリアリティ
左翼と「国民国家」
バトルトーク 鈴木邦男×仲正昌樹×荒岱介×高橋順一
あとがき
(あとがきより)──左であれ右であれ、実質的な論議もないまま最初から「みんな」の意見が「一つ」にまとまってしまうことは、哲学・思想史的に見て好ましいことでないのは確かである。ほとんどの人間には、何でもいいから、とにかく「みんな」から分離しないで〝一体〟となり、(母子一体の幻想に包まれている子供のように)落ち着きたいという欲求がある。意見を言う際に、予め自己検閲して、「みんな」にウケルことだけ言おうとし、それがある程度うまくいって、{みんな}の中での自分の居場所が安定してくると、そのポジションを失いたくなくなる。個人の「間」の意見の相違がなくなって、身内のように仲良しの「みんな」が〝自ず〟から同調し、「みんな」の進んで行く方向に「みんな」が自動的に付いていく「群れ」状態こそが、ハンナ・アーレントがナチズムの内に見た「全体主義」の本質である。
〔中略〕
本書に集めた諸論稿は、そうした「二項対立」思考からいかに離脱していくかという問題意識の下に執筆してきたものである。いろいろな異なったテーマについて、微妙に立場を変化させながら書いているが、「どのような内容の思想であれ、究極の正義の名の下での最終解決を標榜する
内容説明
「無限の正義」で「悪の枢軸」を倒すという単純な「敵/味方」図式で世界を描くアメリカ。『「不自由」論』で話題の著者が9・11以降の「正義の語り方」をレクチャーする。
目次
第1話 「敵/味方」図式の“正義”(ブッシュのアメリカ「無限の正義」への欲望;脱国境化する「帝国」とイラク戦争;進化する資本主義と「物象化」)
第2話 脱構築とプラグマティズム(アメリカ政治思想における「自由」と「共同体」;「民主」と「愛国」のプラグマティズム;脱構築の政治―アメリカ左派とデリダ ほか)
第3話 “不自由”な左翼思想(ドイツにおける新保守主義の台頭;大きな物語も小さな物語も終わった;近代知の超克を訴えた広松構想のリアリティ ほか)
付・バトルトーク 九・一一後の世界をどう考えるか
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年広島県生まれ。東京大学教育学部卒業、東京大学総合文化研究科博士課程修了。金沢大学法学部教授。社会思想史・比較文学専攻
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