内容説明
名門私立女子校で英語教師として働いていた篠田十希子は、突然母の死を知らされる。勤め先である高級料亭の客の商社の男と心中したというのだ。同僚との結婚も間近。娘の花嫁姿を楽しみにしてくれていた母が死ぬはずがない――。死の謎を解くため、十希子は母の勤めていた高級料亭で仲居として働き始める。謎多き客たちに探りを入れるうち見えてきた、驚愕の真相とは。昭和三十年代を舞台に描く愛と復讐のサスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
JKD
22
結婚間近の愛娘 十希子を残して見知らぬ男と無理心中した母 保子。不自然極まりないこの事件の真相を暴き汚名を返上させることを決意した十希子は婚約だけでなく本職の英語教師という立場をも捨て、母が生前働いていた料亭 千代菊に飛び込む。花柳界に身を投じた十希子は女将だけでなく出入りする政財界の重鎮やそこに絡む報道記者を巧みに利用し政財界の闇に身体を張って挑んでいく。昭和30年代を舞台に堅固な男たちに怯むことなく毅然と立ち向かう十希子の立ち振舞いは圧巻でした。2022/08/29
ごいんきょ
20
点と線を連想しちゃいました2022/11/20
Sakura
17
名門私立女子校で英語教師をしていた十希子は、突然母が商社の男と心中したと聞かされる。同僚と婚約が成立した十希子の花嫁姿を楽しみにしていた母が心中などするはずがない、真実を突き止める、と誓う十希子は、母が働いていた高級料亭で仲居として働き始める。大家の家に間借りしていた十希子たちの大家とのやりとりや食事風景、新幹線ができる前の特急「はと」での静岡への移動など、昭和30年代の描写が興味深かった。2024/01/27
Karl Heintz Schneider
17
山口さんにしては珍しくサスペンス調の物語だが、核となるのは母親に対する娘の愛情。「食堂のおばちゃん」と同じく実の母親との関係性が、物語に色濃く反映されているように感じた。最後に主人公は犯人を探し出し母の汚名をそそぐのだけど、彼女が最後に取った行動が、う~ん・・・「夜の塩」というタイトルの意味も、なんとなくわかったけど、もうちょっと違ったタイトルは、なかったものか。山口さんにしては、すっきりしない内容だった。あくまで私が感じたことではあるが。2022/09/28
LIBRA
13
昭和感がとても楽しめた。2024/02/28