内容説明
今なら、過去を変えられる――。
大学病院で産婦人科医として勤務する草壁春翔。
春翔は幼い頃に妊娠中の母が目の前で倒れ、何もできずに亡くなってしまったことをずっと後悔していた。
ある日、春翔は実家の一室で母のPHSが鳴っていることに気づく。不思議に思いながらも出てみると、PHSからは亡くなった母の声が聞こえてきた。
それは雨の日にだけ生前の母と繋がる奇跡の電話だった。さらに春翔は過去を変えることで、未来をも変えることができると突き止める。そしてこの不思議な電話だけを頼りに、今度こそ母を助けてみせると決意するのだが……。
現役医師が描く、時をこえる本格医療・家族ドラマ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
78
現役産婦人科医作家、藤ノ木さんの初期作品。今作も主人公は産婦人科医。医師にはなったものの、母と妹が亡くなったのは自分のせいだと後悔し続けている春翔。医師としての不甲斐なさを感じるある雨の日、古いPHSを通じて亡き母とつながる。それならば過去を変えることができるのではないかと、行動にうつしはじめる。最近の作品と比べて医療場面が少なく、ファンタジーも無理矢理の感じがした。それでも後半の出産シーンと結末はきれいにまとめられている。この作家さんの作品は涙腺を刺激するのは変わらず。若い産婦人科医のこれからが楽しみ。2025/05/30
shi-
21
あんまり期待はしてなかったんだけど、久々にピュアな気持ちの読書でいい話だったぁ。 過去に繋がる電話、某ドラマのような設定で嫌な予感がしたものの、いやいやウルウルしてしまった。 家族愛、命の重み、いやっ本当に良かった。 ネタバレになるから名前は伏せるけど、最後にこの世に命を落とした子はきっときっと温かすぎる愛に溢れた人生を送るんだろうなぁ。2022/10/22
きさらぎ
20
ファンタジーなので多少のご都合主義は目を瞑るとしても、タイムスリップの設定はこれでいいのか?詳しくないのでわからないが少し雑に感じた。あと、春翔が27歳にしてはマザコンすぎないか?出産シーンは緊迫感がある。いつものように料理の話も出てきて温かいストーリーだった。2025/04/25
ゆう
20
よくある終わり方かと思ったら、そう来たか!って感じ。 過去と繋がる電話、雨の日と言う設定がちょっとなぁと最初思ったけど、途中ハラハラして面白かったのでそれも良し。 オムライス作るあたりから泣けて泣けて。後半は時間を忘れて没頭して読んだ。2022/09/16
ゴルフ72
16
藤ノ木作品はこれで何冊目かな?今回も安定の産婦人科に特化したものと読み始めると・・・最後まで一気に読んでします。陽翔が過去を引きづりながらも産婦人科医として産成会病院に赴任、そこは過去のつらい思い出を呼び起こしてしまう。そんな雨の日、亡くなった母の部屋でPHSがいきなり光りだす。過去を繋ぐ電が未来(現在)へ奇跡を起こす。2025/04/21