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内容説明
人口増加や気候変動により、近年、世界的な食料不足が問題になっているが、ロシアのウクライナ侵攻で、事態は一気に深刻化した。穀物価格は高騰し、途上国では暴動も勃発している。そして、食料の多くを輸入に頼る日本でも、憂慮すべき事態が進行している。長きにわたる減反政策で米の生産が大きく減り続け、余剰も備蓄もない状態なのだ。軍事危機で海上交通路を破壊されたとき、国は国民にどうやって食料を供給するのか? 日本は有事において武力攻撃ではなく食料不足で壊滅する――。元農林水産省官僚による緊急警告。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
124
物価高が大変だと言うが、私など、こんな世界情勢なのに、それでもスーパーに品物が溢れている光景に不思議な気持ちになる。その意味で、食料途絶を想定した著者の考察には迫真性がある。JA、農林族議員、農水省の農政トライアングルによって米の高価格維持と減反政策が推進されていることを痛烈に批判し、輸入途絶時に国民の食料を供給するために最も必要なのは、農地や担い手などの「農業資源の確保」だと強調する著者。農水省高官だった著者の意見は異端視されていると言うが、私には、非常に説得力があるように思える。もう少し考えてみよう。2022/10/06
榊原 香織
72
田んぼ潰して宅地にしてるのよく見かけるが、まずいと思います。 今のウクライナ侵攻では日本は飢えないんだけど、台湾有事はヤバい。水田保全するべき2022/12/15
きみたけ
71
著者は、経済産業研究所上席研究員、キャノングローバル戦略研究所研究主幹、東京大学公共政策大学院客員教授の山下一仁先生。減反政策で米の生産が大きく減り続けた結果、余剰も備蓄もない状態の日本。台湾有事などの軍事危機で海上交通路を破壊されれば、日本はたちまち食料不足で壊滅するという。農林水産省、JA農協、農林族議員の「農政トライアングル」による利益構図や「食糧自給率」のからくり、世界の食料事情など興味深い内容を紹介。 食糧安全保障の危機回避のために、まずは減反を廃止するよう声を挙げることから始めよう。2022/11/22
ひさしぶり
19
平成21年「農協の大罪」を読んで怒ってたはず、今は本著で日本の農政に成長が見られなくてガッカリ感。JA農協、族議員、省庁は相変わらず。台湾有事等非常時の農地転用も規制や既得権益の障害を想像すると‥。農家を守る為の名義が自分たちの利益優先にすり替わり補助金濫用。自国の消費者が一番損してる。2023/02/10
singoito2
13
食糧安保の2冊目。「そのとき、日本は何人養える」はJA系の版元でふんわりした内容だったけれど、本書はズバリ有事に料輸出が途絶すれば国民の半数は餓死する、その責任は米や麦を減反させ続けたJAと農林族議員と農水省にある、と明快に述べています。つまり、平時からたくさん生産して備蓄したり、輸出していれば、有事となっても慌てる必要は無い、という当たり前の主張。むしろ、JAが米の流通元として米価の維持を図るため減反政策を推進して食料安保を低下させた、と。著者は元農林省職員、非常に説得力のある一冊。2023/07/26