内容説明
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現代的な問題意識をもって捉える音楽とファッション
文学や映画も巻き込んだ鮮やかな考察で、文化の見え方が変わる
ポピュラー・ミュージックには、その歴史を語るうえで欠かすことができないさまざまな文化的背景があります。これはファッションという文化においても同様です。
この本では、音楽とファッションが出会い、生まれたムーブメントや流行、そしてアイコニックなアーティストの姿から、現代の問題意識と通底しているトピックスをピックアップしています。
ジェンダー、他者の文化、レイシズムといった現代的な視点で、映画や文学にも接近しながら、音楽とファッションの相互作用を鮮やかに考察。
単なる音楽とファッションの歴史本ではない、アクチュアルな問題意識を提示する1冊です。
著者の青野賢一は、株式会社ビームスにてPR、クリエイティブ・ディレクター、〈BEAMS RECORDS〉のディレクターなどを務め、現在は独立し、音楽、ファッション、映画、文学、美術といった文化芸術全般を活動のフィールドに活躍する文筆家/DJ/クリエイティブ・ディレクターです。本書は、これまでにさまざまな媒体で手掛けてきた「音楽」と「ファッション」に関する記事を集め大幅に加筆修正し、書き下ろし原稿を加えたもの。
本書のカバーデザインは、古い雑誌や紙物を素材にハサミと糊を使ってコラージュ作品を生み出すM!DOR!が担当。『VOGUE JAPAN』『装苑』といった雑誌誌面や書籍の装画、またofficial髭男dismやPerfumeといったミュージシャンのアートワークなど、多方面で活躍するコラージュ作家です。
カバーデザイン:M!DOR!
●本書のおもな登場人物
イエロー・マジック・オーケストラ
カート・コバーン(ニルヴァーナ)
クルアンビン
ジョン・バティステ
セックス・ピストルズ
ちゃんみな
デヴィッド・ボウイ
BTS
ビョーク
ビリー・アイリッシュ
ボーイ・ジョージ(カルチャー・クラブ)
ポール・ウェラー
ボブ・マーリー
マイルス・デイヴィス
リナ・サワヤマ
レディー・ガガ
ローリング・ストーンズ
......他
【CONTENTS】
●第一章 音楽表現とファッション性におけるジェンダー──強調、転倒からパーソナルな領域へ
ジョニ・ミッチェル ──ワイト島音楽祭の黄色いドレス
パティ・スミス ──とどまらない詩人
多様性を受け入れるニュー・ロマンティクス ──ボーイ・ジョージとカルチャー・クラブ
レディー・ガガの自覚性が世の中を照らす
隠さざるを得ない気持ちと共鳴する音楽 ──ビリー・アイリッシュ
丁寧に作り上げられたその世界を覗く ──スネイル・メイル
音楽とルッキズムについての覚書
●第二章 反と音楽とファッション──反戦/反体制/反大人
ラスタ・カラーの意味、いえますか?
受け継がれる精神性、記号と化したファッション ──ドキュメンタリー『パンク:アティテュード』
シグネチャーのある音楽と佇まい ──エルヴィス・コステロ
ポール・ウェラー ──アイビー・スタイルから覗く英国人の矜持
パンクはファッションにあらず ──トレイシー・ソーン
カート・コバーン ──流行はオルタナティブを放逐する
「反」を突きつけられた側の魅力を発見する
●第三章 芸術表現における異文化との交流──変わりゆくボーダーライン
文化の盗用と音楽ジャンル
一九七〇年代のYMOから考える、妄想する余白
一九八〇年代の日本におけるスウィング・ジャズ・リバイバルとキャンプ、キッチュ
大衆性、娯楽性と批評性 ──BTSとリナ・サワヤマから考えるポピュラー・ミュージック
文化を巡る飛行機、あるいはタイムマシン ──クルアンビン『Con Todo El Mundo』
アイデンティティとファッション、音楽の関係を鮮やかに表現するデザイナー、ニコラス・デイリー
●第四章 差別との戦い──レイシズムに反発するアート・センス
反アパルトヘイト運動と音楽
アメリカはブルースを忘れない ──B.B.キング
マイルス・デイヴィスの装いと時代
「普通の人間」とはいったい ──『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
ポピュラー・ミュージックに求められる社会的役割 ──ジョン・バティステ
●第五章 美術とスポーツとテクノロジー──拡張されていくアート・センス
デヴィッド・ボウイ ──機械の上手な操縦法
ゴシック・ロマンスの歌姫 ──ケイト・ブッシュ「Cloudbusting」
都市に介入し、風景を変える行動としてのヒップホップ ──映画『スタイル・ウォーズ』
映画から考えるスケート・カルチャー
テクノロジーを引き連れて進むビョーク
●第六章 音楽、ファッションと悪──不良性と逸脱の魅力
イギリスのユース・カルチャーの背景 ──一九五〇年代から一九七〇年代まで
隠しようもない人生の悲哀 ──チェット・ベイカー
一九六〇年代のポップ・アイコンから真似のできない境地へ ──マリアンヌ・フェイスフル
破壊と創造の一九六〇年代 ──『ワン・プラス・ワン』のローリング・ストーンズ
キリスト教信仰のパロディとしてのブラック・メタル ──映画『ロード・オブ・カオス』
●終章
ポピュラー・カルチャーの豊かさ
ジャンル/ムーブメント/トピック年表