内容説明
ストリッパーとしてオハイオ州コロンバスのゲイエティ劇場に出演していたジプシー・ローズ・リーは、旧知の興行主H・I・モスに誘われ、親友のジージー・グレアムとともに、彼がオーナーを務めるニューヨークのオールド・オペラ劇場に移籍する。華やかな舞台の裏で繰り返される、踊り子同士のいがみあいや喧嘩、口さがない悪口、踊り子とコメディアンとの恋愛沙汰、警察による手入れ、と移籍先での毎日は騒がしい。そんな中、新しいトイレのお披露目を口実に楽屋で開かれたパーティの席上で、皆から嫌われていた踊り子のロリータ・ラ・ヴェルヌが、Gストリングを首に巻きつけた状態の遺体で発見される。自身にも嫌疑を向けられたリーは、恋人のビフ・ブラニガンとともに調査を始めるが、やがて第二の殺人が!
一癖も二癖もある人間が出入りし、生々しい人間関係が渦を巻く猥雑を極めたバーレスクの世界を舞台に繰り広げられる、アメリカン・バーレスクの伝説的スターによる異色のミステリ、ここに開幕! クレイグ・ライス代作説を徹底究明した前説だけでもミステリ・ファンはMUSTの一冊。
◆女性読者の皆様、「ストリッパー」という惹句を目にして敬遠するなかれ。本作は、ボーヴォワールが『第二の性』を著す以前の1941年に、アメリカの知的で自立した女性の生きざまというフェミニズム・テーマを、声高でなく面白おかしく描いた文学的価値もあるミステリ良作なのです。(山口雅也)
装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
103
かのジプシー・ローズ・リーが書いたミステリとの触れ込みだが、謎解き要素は大したものではない。トリックらしいトリックもなく、事件も解決も偶然の結果であって矛盾や破綻がないだけマシな凡作だ。しかし舞台となるストリップティーズとそこに生きる面々の描写は面白く、ほとんど知られていないアメリカンバーレスク最盛期の姿を生き生きと伝える。性風俗ニーズとそれを提供する男女の生活、取り締まりに忙しい警察や彼らを取り巻く商売など、お上品な歴史家は決して書かない庶民文化の実情を、中にいた者の筆でしか描けない貴重な記録といえる。2022/12/07
だるま
19
山口雅也氏が製作総指揮している『奇想天外の本棚』の、版元が代わりスタートした新シリーズの第2弾で、伝説のストリッパーであるジプシー・ローズが書いたとされている異色のミステリ。「されている」と言うのは、しっかりと完成されたミステリなので代作がいるのではないか(しかもそれはクレイグ・ライスではないか)と疑われているからであって、その辺の事情は本文の前に説明されている。内容は確かに破綻無く良く出来ていたが、特に際立っている部分も見られない標準作といった感じだった。ただ、ストリッパーの生き様はリアルで面白かった。2022/12/04
グラスホッパー
10
1941年、ストリッパーの女性が描いたミステリ。フーダニット、ハウダニットに、果敢に挑戦している。奇想天外の本棚の一冊である。2023/01/07
ムーミンママ
7
ミステリーとしては少し物足りなさを感じたけれどストリッパーをしている女性の物語としては大変 満足でした。2023/01/10
蝸牛
6
#読了 山口雅也さん製作総指揮の「奇想天外の本棚」2作目。 当然ながら初見(読?)でした。 訳者さんがお上手なのか、すごく読みやすい本。 ずっとジプシーが探偵役なんだと勘違いして読んでて、違うと気付いたのは結構後半突入してから。 本編の前の炉辺談話が割も面白くて好きだな。2022/11/05




