ハヤカワ文庫NF<br> 現れる存在 脳と身体と世界の再統合

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ハヤカワ文庫NF
現れる存在 脳と身体と世界の再統合

  • ISBN:9784150505912

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内容説明

心は、脳の中だけにあるものではない 生命の心は、脳と身体と世界の相互作用から創発する。認知科学の第一人者が、微生物や人工生命などの例を交えて提起する心の科学

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばんだねいっぺい

23
知的なヒントが渋滞しているすごい本。身体的認知にとっての外部環境がいかに大切かというところがいちばん 刺さった部分だ。2023/05/29

原玉幸子

17
ロボット工学から、脳神経学、認知科学、哲学や言語学まで考察を広げている本書は、A・ダマシオ『意識と自己』、渡辺正峰『脳の意識、機械の意識』などでの私なりの理解、「意識=(本書での)認知とは」が主旨の気がします。付録にあった「認知の統一理論」を目指す、との表現が分かり易いかと思います。ですが、専門的な箇所が難しいのか冗長で退屈なのかが分からないまま、結構読み飛ばしました(恐らく後者なのでしょう)。科学者仲間達が偉大な先生の論考を翻訳するのは、広く理解されるより「通好み」過ぎたかも。(●2023年・春)2023/02/04

8123

8
創発と聞くと、やれ粘菌がとか、メガポイントがどうとか、ニューエイジ的神秘主義のうさん臭さを感じるし、汎心論を想起させる。そういう色眼鏡は無知の為せる業だと痛感した。単一目的な要素同士の相互作用が、中央集権的な制御抜きに問題解決する。その様は実にエレガントに映る。このヤバさに魅了されてるのがビンビン伝わってくるんだけど、筆者は大人ぶって創発主義と表象主義の中間的な立場をとるので、そこからの議論がメンドクサい。内部表象と身体環境システム(現実世界)とのズレを調整するのが意識だというあいまいな予想をたてつつ読了2023/12/12

人生ゴルディアス

8
文庫落ちなので油断していた。認知科学における対立する"脳概念"を議論するなど、かなりヘビーな内容だった。脳は外界から五感を通してシグナルとして受け取り、それを内部で計算して出力するだけのものではなく、また、シンボルという内的な概念を”心”に蓄えそれを操作するものでもないと言い、その中間を探っていく。脳は計算リソースを減らすために外界を構造化させ、構造化されたものを見た他人の脳が刺激されて新たなる構造化をする。そして人間はたまたまそれが他の動物より得意だっただけ……みたいな話が本当に面白かった。2022/11/16

プロムナード

3
生物の活動は環境という外部リソースと一体化してるんだって話は、中動態の世界とか、社会モデルとか、諸法無我とかに脳の機能からつながる感じがして最高に面白い。終盤には、そのことが「では人間の心って何?」「言語って何?」と読者自身を破壊するクライマックスに向かっていくので素敵すぎる。言語SFとか、自由意志はありません論が好きなら必読ですし、言語が使用者と共生するっていう柴田勝家の異常論文みたいな喩えとか、脳がその持主に語りかけるイーガンの短編みたいな話で終わるので、普通にSF的面白さでしたね……。2022/09/11

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