内容説明
各国で工作員が暗躍する時代、とある国――ハグル王国の工作員クロエは、類まれなる変装技術と体術で、難しい任務さえも次々と完遂する日々を送っていた。
しかし、上司の裏切りをきっかけに彼女は組織から忽然と姿を消してしまう。なぜならクロエは、隣国アシュベリー王国の一般市民ビクトリアとして、夢に見ていた「普通(しあわせ)」な人生をやり直す計画を立てていたのだ。
そんなビクトリアはセカンドライフ初日にとある少女を保護したことで、想定外だが幸せなスタートを切り、多くの人々と関わっていく。
新天地で彼女は歴史学者の助手・語学の先生・凶悪犯の脱獄補助と、工作員時代に培った経験と才能を活かして大活躍!!
一方でビクトリアの強さに興味を持つ第二王子や組織の追っ手など、手札が多い彼女に対して迫る影も多く――!?
アクションと心あたたまるビクトリアの人生修復物語、ここに開幕!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
38
ハグル王国の凄腕元工作員だったクロエが、信頼していた上司の裏切りをきっかけに組織から姿を消して、隣国アシュベリー王国の一般市民ビクトリアとして普通の幸せを目指す人生修復物語。入国初日に邂逅する母親に捨てられたノンナ、そして彼女の身元引受人となってくれたジェフリーの存在。ノンナを育てながら研究の助手や語学の家庭教師などで周囲の信頼を得てゆくビクトリアの有能っぷりが際立っていて、自らを危険に晒すことすら厭わずに窮地に陥った人たちを助けずにはいられない彼女が、多くの人に慕われているのも分かるような気がしました。2022/08/01
ホシナーたかはし
24
ネット小説版が面白かったので購読。脱走スパイが追手と頭脳戦肉弾戦をする、そんな殺伐としたものではなく、血のつながりのない家族の形を描いてます。ネット版と展開が違うので、続きがどのように変わって書籍化するのか楽しみです。ノンナとクラークが再会できると良いなぁ2022/12/01
わたー
24
★★★★☆とある国のエース工作員として働いていた主人公は、彼女の根幹を揺るがすような裏切りをしていた上司に失望し、組織を足抜けして第二の人生を送ることに。そんな彼女が、母親に置き去りにされた幼女を拾うことから始まる物語。工作員時代に培った技術と、情に厚い行動で瞬く間に心地よい居場所ができる彼女。これまでの冷たい世界からは考えられないほど穏やかな生活は、読んでいてほっこり。だからこそ、それを捨てて放浪生活を選んだ終盤から、ありのままの彼女でいていい居場所ができたラストへのアップダウンにすっかりやられた。2022/09/23
蒼
20
改めて作者守雨さんの物語の構成の巧さに心酔した。工作員という言葉に、現実の大陸の国々や太平洋の向こうの大国を想像したりするけど(現実の工作員の実態は知る由もないが)、組織から脱走し渡った先の国で幼い子供を引き取って育てるビクトリアの度量の深さと、自分の身を守る生き方を教え込む姿が、とてもカッコよくて背負ったモノの暗闇を吹き飛ばすような爽快さがあった。ジェフとの幸せな暮らしが無事に続きますようにと願い、次巻を開いてみたい。2024/09/20
陸抗
17
元工作員のヴィクトリアが、脱走して自由を得ようと一人足掻く。何でもこなしてしまうから人の助けなど要らなさそうに見えるけど、そうじゃないんだね。幸せを掴んだ時の彼女は、とてもキレイだった。2025/03/06