プリズン・サークル

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プリズン・サークル

  • 著者名:坂上香
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 岩波書店(2022/07発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
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  • ISBN:9784000615266

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内容説明

受刑者が互いの体験に耳を傾け,本音で語りあう.そんな更生プログラムをもつ男子刑務所がある.埋もれていた自身の傷に,言葉を与えようとする瞬間.償いとは何かを突きつける仲間の一言.取材期間一〇年超,日本で初めて「塀の中」の長期撮影を実現し,繊細なプロセスを見届けた著者がおくる,圧巻のノンフィクション.

目次

プロローグ 「新しい刑務所」
1 ある傍観者の物語
傍観者から参加者へ/「常に,そうですね」/二つのカリキュラム/当事者スタッフの存在/日本でのTCを可能にしたもの
2 感情を見つめる 四人の物語
拓也/真人/翔/健太郎/イライラの身体反応/「感情の筋肉」を鍛える/相反する感情
3 隠さずに生きたい
さざ波とともに終わる食事/最近,心が動いたこと/「感盲」とトラウマ/祈るような語り/芽吹きに立ち会う/撮影の困難/突き破れなかった壁
4 暴力を学び落と
受刑者による授業/暴力を特定する/使われなかった言葉/長い道のり/手作りのハンカチ/一時間おきの電話/暴力に代わる方法を手にするまで/記憶のない加害,記憶のある加害/DVを学び落とすために
5 聴かれる体験と証人 サンクチュアリをつくる
年表をつくる/混ざり合う被害と加害/照れ笑いと一緒に/支援員も打ち明ける/映らなかった余暇時間/「特別な場所」の準備
6 いじめという囚われ
お金がすべてに優先する/母には言えなかった/訪れた転機/加害者側の語りを聴いて/いじめの影
7 性暴力 光のまだ当たらない場所
スコッティの告白/男性の性暴力被害/「葛藤の手紙」を読む/なぜ被害者に向けて書いたか/破り捨てた手紙/性的虐待のあと/一軍コンプレックス/多くを知らない
8 排除よりも包摂
決意表明とカミングアウト/「なんか皆と違う」感覚/二つの名前をもつ母/「アンチな反応」/心を開かせ合う場所/削除されかかった場面
9 助けを諦めさせる社会
ソーシャルアトム/施設の内と外/思い出がない/暴力の「世代内連鎖」/「嘘つきの少年」を書く
10 二つの椅子から見えたもの
事件について語る/空の椅子に向かって/幸せになりたい自分/死刑囚Aとの対話/生まれ変わり
11 被害者と加害者のあいだ
自己憐憫/シナリオが書き換えられる瞬間/修復的司法との出会い/螺旋階段/二年目の真実/「償いとは何か?」/同じ船に乗り合わせた者たち
12 サンクチュアリを手わたす
最後のサークル/仮釈放で父親のもとへ/出所日/刑務所撮影の最終日/みんなが証人/手わたされた種と土
13 罰の文化を再考する
保護会の実際/二つの入口/コミュニティ・サークル/静かな施設で/「囚人化」のプロセス/相反する二つの文化/刑務所の未来/私たちの安全観を問い直す/アボリションのリアリティ
エピローグ 「嘘つきの少年」のその後
参考文献
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がらくたどん

79
平成19年・20年に日本で4か所の官民混合運営型刑務所が運営開始した。その中の犯罪傾向が進んでいない男子受刑者対象の「島根あさひ社会復帰促進センター」での「回復共同体(TC)」プログラムを映像化した際の取材をまとめたルポ。「問題には皆で対処し、失敗しても解決に向けて努力すれば許され、傷ついたと言う権利が認められ、それを語れば耳を傾けてもらえ」る地縁血縁によらない共同体の力を使って「感情の筋肉を鍛え」問題からの回復を目指す手法は一部海外ではすでに犯罪者の矯正から広く一般的な教育プログラムへと展開している→2023/09/13

おたま

69
ドキュメンタリー映画監督・坂上香が、「島根あさひ社会復帰促進センター」(略称「島根あさひ」)という官民合同の刑務所で撮影した映画『プリズン・サークル』の内容と、そこで削除された部分も増補して書かれた。特に島根あさひで行われているTC(Therapeutic Community=回復共同体)という取り組みに焦点を当てている。普通の刑務所で行われている、罰としての訓練や拘禁とはまったく異なる。確立されたプログラムに沿いながら、受刑者自らが共に対話を繰り返して「回復」していくことを求める。2023/02/09

ネギっ子gen

65
【人は、ひとりでは罪と向き合えない】 日本初となる刑務所内での長期撮影の結果が、本書と映画という形で結実。その著作版。受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語り合う。そんな更生プログラムをもつ男子刑務所が、島根県浜田町旭町にある。受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促す「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムを導入している、日本で唯一の刑務所でもある「島根あさひ社会復帰促進センター」。以下は、いつもの。⇒ https://note.com/genok/2022/05/08

たま

64
以前に読メで感想を見かけ、気になっていた本。重い内容で考えさせられた。著者の坂上香さんは島根あさひPFI刑務所でTC(回復共同体)と呼ばれる更生プログラムの模様を映画に撮影。この本はその記録でもある。育児放棄、DV、いじめ等を経験し抑圧してきた受刑者が過去と向き合い自己の犯罪、被害者との関係を捉え直す。形式的な反省文を書くのではなく、少人数のグループで話し・聞きあい、ロールプレイで再体験するのである。僅か40人(全受刑者数は4万人)が参加するプログラムだが、再犯率が低いなど実効性があるようだ。→ 2024/02/18

夜長月🌙新潮部

62
犯罪者の更生について考えさせられました。罰として刑務所に入れるだけで人が生まれ変わる訳がありません。「島根あさひ」という更生プログラムを持つ刑務所があります。ここでは、人の再生のためにディスカッションや討論が行われます。罪が生まれた背景に何があるでしょう。親からの暴力やネグレクト、性被害などが語られて心理的に解決されることがないと反省などは生まれません。負の連鎖を断ち切るにはこの社会に一人でも理解者を増やすことが大切です。2024/06/12

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