算数文章題が解けない子どもたち - ことば・思考の力と学力不振

個数:1
紙書籍版価格
¥2,420
  • 電子書籍
  • Reader

算数文章題が解けない子どもたち - ことば・思考の力と学力不振

  • ISBN:9784000054157

ファイル: /

内容説明

つまずきの原因を「読解力が足りない」で済ませては支援につながらない.著者らは学習の認知メカニズムにもとづいて,学力の基盤となることばの知識,数・形の概念理解,推論能力を測るテストを開発.その理念と内容,実施結果を紹介し,それで測る力が算数・国語の学力とどのような関係にあるのかを質的・量的に検討する.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

はじめに
第1章 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の基本理念 学びの前提を測るテスト
1-1 開発の意図と目的
1-2 学力とは何か
1-3 「生きた知識」とは何か
1-4 「生きた知識」を使うために必要な認知能力
1-5 テストデザインの基本理念
1-6 テストの使い方
第2章 誤答から見える算数学力
2-1 算数文章題テスト
2-2 3, 4 年生用問題の誤答タイプ
2-3 5 年生用問題の誤答タイプ
2-4 誤答分析のまとめ
2-5 個人差
2-6 階層ごとの誤答タイプの分布
第3章 「 ことばのたつじん」による言語力のアセスメント
3-1 テストの概要
3-2 「ことばのたつじん①」 語彙の深さと広さ
3-3 「ことばのたつじん②」 空間・時間のことば
3-4 「ことばのたつじん③」 動作のことば
3-5 言語力の個人差
3-6 「ことばのたつじん」と学力の関係
第4章 「 かんがえるたつじん」による思考力のアセスメント
4-1 テストの概要
4-2 「かんがえるたつじん①」 整数・分数・小数の概念
4-3 「かんがえるたつじん②」 図形イメージの心的操作
4-4 「かんがえるたつじん③」 推論の力
4-5 「かんがえるたつじん」と学力の関係
第5章 「 ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」と学力の関係 統計分析
5-1 算数文章題テストを学力の指標とした重回帰分析
5-2 標準学力テストを学力の指標とした重回帰分析
5-3 重回帰分析からの考察
第6章 学習のつまずきの原因
6-1 知識の問題
6-2 推論と認知処理能力の問題
6-3 相対的視点と認知的柔軟性の問題
6-4 読解力と推論力の問題
6-5 複数要素の統合への手立てが重要
付録1 ほんものの学力を育む家庭環境 保護者アンケート調査から
A-1 保護者アンケート調査
A-2 家庭環境が学力に及ぼす影響
A-3 ほんものの学力を生む家庭環境
付録2 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の開発の過程
付録3 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の頒布の対象と入手方法
終わりのことば

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

72
小学生の算数で文章題を読んでも式が立てられなかったり、図解できない子どもたちがいる。算数嫌いになるきっかけは従来、読解力と言われてきたが、いろいろな知識を組み合わせて問題解決するための「生きた知識」と推論を継続するための認知能力に原因がありそうだ。実際に小学生に出題した問題と子どもたちがどのような点を誤って認識してしまうかを解説しているのがおもしろい。残念ながら数学嫌いにならない対策については別な本に書かれる予定のようだが、数学嫌いがどのようにして生じてくるかに興味のある人には読む価値のある本だと思う。2022/08/19

けんとまん1007

70
学力とは?から始まり、表面的な問題ではなく、その根本にある課題を表出する内容で、とても興味深い。これまで、算数文章題の文章自体の理解ができないからということを、結構、目にしてきた。しかし、それすら表面的であることが提示されている。どういう思考で、間違えるのか、その思考はどこから生まれるのかということ。スキーマという言葉に納得する。いかにして、多様な言葉に触れるか、五感で感じとるのかに立ち戻ること。おしまいのほうに、本がある環境、読み聞かせの効用・身体性などに触れられていて、納得するものがある。2024/06/11

k sato

33
1/2より1/3の方が大きい!?もちろん、間違いだ。でも、教育現場で起きている現実なのだ。子供の学習のつまずきを単なる読解力不足で済ませず、原因7つに言及した教師たちの取り組みが記されている。広島県教育委員会が県内小学校を対象に、「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」と呼ばれるテストを行った。その結果、知識はあっても、生きた知識として活用できない子供が一定数いることが明らかとなった。特に、推論の力不足が顕著。保護者にアンケートを行ったところ、家庭での読書習慣や読み聞かせが、テスト結果と正の相関があった2023/04/18

SIN EIM

18
【個別最適化へ】「ケーキの切れない非行少年たち」と共に読むと更に興味深い。外国からの移民、学習障がい、あるいはグレーゾーンの子供たち。すべてを同じ前提から科学的に論証している稀有な本である。文部科学省が叫ぶ「個別最適化された教育」を実現させるために必要なデータが納められている。一方、全国で画一的にならざるを得ない日本の公教育の弱点をも浮き彫りにしている。ソクラテスもプラトンも福沢諭吉も懸念した「政治に近い機関が教育に携わるには限界がある」という言葉を裏付けていると思った。2024/12/16

sosking

18
認知について、大変勉強になりました。また、広島県の教育委員会は良い活動をしていると感じました。さて、認知については良い例を蓄える事が本当に重要で、この例から理解に繋がっていく訳です。だからこそ日常の中の出来事を、簡単な理屈で捉えることのできる子とできない子で差が広がっていく様です。問題を解くよりも前に、文を読んで例が出せると言う事がなりより大切だと言うことです。2024/09/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19781297
  • ご注意事項