岩波科学ライブラリー<br> 学術出版の来た道

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岩波科学ライブラリー
学術出版の来た道

  • 著者名:有田正規
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 岩波書店(2022/07発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784000297073

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内容説明

学術出版はその350年を超える歴史を経て,他の産業とはまったく異なる評価・価値体系を形成してきた.出版社が先導する動きに世界の科学が振り回される結果として生じている,学術誌の価格高騰や乱立,オープンアクセス運動,ランキング至上主義,データベースの苦難といった構造的な問題を,歴史的な視点から解き明かす.

目次

第1章 学術出版とは何か
学術出版の利益率
出版の簡単な歴史
第2章 論文ができるまで
論文の執筆
文献の調査
抄録誌と索引
論文の審査と査読
査読の仕組み
ピア・レビューの導入は1970年代
アインシュタインはピア・レビューが嫌い?
論文校閲と校正
著作権の譲渡
論文の出版と掲載料
第3章 学会出版のはじまり
イングランド王国の『哲学紀要』と学会出版
フランスの学術誌とアカデミー出版
第4章 商業出版のはじまり
エルゼビアのおこり
シュプリンガーのおこり
第5章 学術出版を変えた男
生い立ち、シュプリンガーとの出会い
ペルガモン出版の躍進
冷戦と学術出版
学術誌の需要と価格設定
エルゼビアへの売却
第6章 学術誌ランキングの登場
ガーフィールドのインパクト
鶏舎で始めた『カレント・コンテンツ』
引用索引『SCI』とインパクト・ファクター
書かずんば去るのみ
ISIのその後
トラッチが仕掛けたオープンアクセス
第7章 オープンアクセスとビッグディール
スライスされたパンに次ぐ大発明
図書を失いゆく大学図書館
スパーク連合の挑戦
プロスとPMC
トラッチとBMC
ブダペスト運動、ベセスダ宣言、ベルリン宣言
OAメガジャーナルの誕生
商業化したオープンアクセス
SCOAP3による学術誌のOA転換
商業OA出版の勝ち組
第8章 商業化した科学と数値指標
編集部も読まない学術誌
営利業者と研究者の共生
論文数の急増と多作研究者
被引用数という呪い
サンフランシスコ宣言、ライデン声明
『イーライフ』誌の挑戦
即時オープンアクセスとプランS
学術誌の利益率
第9章 データベースと学術出版
抄録誌のはじまり
『ケミ・アブ』からCASデータベースへ
配列データベースのはじまり
データベースと学術誌
ヒトゲノム計画とオープンサイエンス
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キリル

10
他の産業とは異なる評価・価値体系を形成してきた学術出版についてその歴史から現代における問題点についても解説した本。学術情報を一覧できるようにしたい、広く共有したいという希望からボランティアで始まった学会出版の時代の苦悩から、やがて商業出版が主流になる中で確実に利益を得たい企業が仕掛けた戦略、そしてアカデミアから搾取する企業の戦略に抗って研究成果をOAにするべく活動する研究者たちの取り組みがまとめられていて勉強になりました。PLos ONEの理想を追い求めたらパンドラの箱が開いたという話は興味深かったです。2022/01/01

mft

10
学術的成果をどうやって共有するかの技術論と、広く共有すべきという理想論と、それをどうやって持続可能な体制にするかという経営論と、そして研究者それぞれがその世界で生き延びていくための戦略論と、混沌とした流れをいったん歴史的な背景から俯瞰してみるための本。悠久の昔から変わらないシステムかと思いきや、変化の激しい世界のようだ。ピアレビューというシステムさえ冷戦期以降の習慣に過ぎないというのが一番意外だった(ゼロックスの発明という技術的要因もあったらしい)2021/10/15

kitten

7
図書館本。研究を論文にして公開する。学術出版の歴史を、活版印刷から2020年代まで。論文が雑誌に掲載されるのにお金取られるんだ。学問って、金持ちの道楽だったんだなあ。私が学生の頃は、まだ図書館で論文をコピーしてた時代。これだけネット社会になって、急速に社会が変わっていった結果、COVIDの論文とか査読なしのプレプリント多かったよね。確かにそのうちにAIが論文書いてそうで怖いな。2023/04/19

Iwata Kentaro

7
学術出版業界の下世話な話。利益率とか知らん話題も多くてとてもおもしろかった。ハゲタカ判定の基準はやはりないのだと再確認(オレの基準、があちこちにあるだけで)。2023/01/29

三色かじ香

4
学術誌の変遷を書いた本。筆者は、購読料や掲載料の高額さや、出版者の営利目的の強さに批判的な立場であることは滲ませつつも、なぜ、今もしくはその当時に、この仕組みでこの金額なのかが説明されてて面白かったです。成果を発表する場がほしい研究者を口説いて、編集作業はこっちでするというシステムを作ったマクスウェルさんえらい。2022/02/20

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