内容説明
学術出版はその350年を超える歴史を経て,他の産業とはまったく異なる評価・価値体系を形成してきた.出版社が先導する動きに世界の科学が振り回される結果として生じている,学術誌の価格高騰や乱立,オープンアクセス運動,ランキング至上主義,データベースの苦難といった構造的な問題を,歴史的な視点から解き明かす.
目次
第1章 学術出版とは何か
学術出版の利益率
出版の簡単な歴史
第2章 論文ができるまで
論文の執筆
文献の調査
抄録誌と索引
論文の審査と査読
査読の仕組み
ピア・レビューの導入は1970年代
アインシュタインはピア・レビューが嫌い?
論文校閲と校正
著作権の譲渡
論文の出版と掲載料
第3章 学会出版のはじまり
イングランド王国の『哲学紀要』と学会出版
フランスの学術誌とアカデミー出版
第4章 商業出版のはじまり
エルゼビアのおこり
シュプリンガーのおこり
第5章 学術出版を変えた男
生い立ち、シュプリンガーとの出会い
ペルガモン出版の躍進
冷戦と学術出版
学術誌の需要と価格設定
エルゼビアへの売却
第6章 学術誌ランキングの登場
ガーフィールドのインパクト
鶏舎で始めた『カレント・コンテンツ』
引用索引『SCI』とインパクト・ファクター
書かずんば去るのみ
ISIのその後
トラッチが仕掛けたオープンアクセス
第7章 オープンアクセスとビッグディール
スライスされたパンに次ぐ大発明
図書を失いゆく大学図書館
スパーク連合の挑戦
プロスとPMC
トラッチとBMC
ブダペスト運動、ベセスダ宣言、ベルリン宣言
OAメガジャーナルの誕生
商業化したオープンアクセス
SCOAP3による学術誌のOA転換
商業OA出版の勝ち組
第8章 商業化した科学と数値指標
編集部も読まない学術誌
営利業者と研究者の共生
論文数の急増と多作研究者
被引用数という呪い
サンフランシスコ宣言、ライデン声明
『イーライフ』誌の挑戦
即時オープンアクセスとプランS
学術誌の利益率
第9章 データベースと学術出版
抄録誌のはじまり
『ケミ・アブ』からCASデータベースへ
配列データベースのはじまり
データベースと学術誌
ヒトゲノム計画とオープンサイエンス
おわりに
注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キリル
mft
kitten
Iwata Kentaro
三色かじ香