内容説明
いまも胸にのこる後悔、運命と信じたはかない恋心、忘れえぬ異国の光景、取り戻したかったあの瞬間の空気。そう、願いがかなうものならば――。メロディーを耳にしただけで、あの頃の切ない想いを鮮やかに甦らせてくれる永遠の名曲たち。不世出の天才シンガーソングライター、ユーミンのタイトルが、6人の作家によって新たなストーリーへと生まれ変わる。唯一無二のトリビュート小説集。(解説・酒井順子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
441
本書はユーミンのデビュー50周年を記念して企画されたもの。6人の高名な女性作家たちが、それぞれに自分の好きなユーミンの曲を選んで書き上げた小説が6篇。私も、これらの曲をYouTubeで聴いて(ユーミンのステージを見て)みたのだが、たしかにユーミンは多くの同時代の人たちの共感を得ながら一つの時代を駆け抜けていった稀有な人であったとの思いを新たにした次第。さて、本書の6篇だが、いずれも多かれ少なかれ時代性を背負っている。そして、それぞれの作家の文体で語られるユーミンと「私」の時代の物語である。2024/07/14
starbro
341
ユーミンを特別に好きではありませんが、好きな作家6人が、ユーミンデビュー50周年記念に書いているので読みました。あまりユーミンの唄は聴こえてきませんが、歌詞の内容をイメージした作品集でした。オススメは、小池真理子「あの日にかえりたい」&川上弘美「春よ、来い」です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/133963/ このレビューは、松任谷由実 「真夏の夜の夢」を聴きながら書きました♪ https://www.youtube.com/watch?v=fxTD_ZIAnH42022/08/22
rico
219
6人の女性作家がユーミンの曲をモチーフに綴った6つの物語は、過ぎてきた日々への哀惜。胸をちりちり焼くような記憶を呼び起こし、せつない想いが溢れ出す。あの人たちはどうしているのか。私はどうしてここに来てしまったのか。無為にやり過ごしてしまった2度と来ない時間。ままならぬ運命。・・・様々な想いが交錯する。ユーミンのおしゃれでキラキラしててパワフルな世界とは違う味わい。でも、根底にこの痛みと影があるからこそ、多くの人が魅せられるのだろう。私たちは生きてる。だから春は来る。きっと。2022/08/04
fwhd8325
198
ユーミントリビュート小説集。全作書き下ろしが文庫で発売とはうれしいです。そして、この豪華な作家の方々。贅沢すぎます。それぞれに作家さんの個性が出ていて面白いと思いました。個人的には、小池真理子さんの「あの日にかえりたい」、江國香織さんの「夕涼み」、川上弘美さんの「春よ、来い」が強く印象に残りました。2022/07/27
エドワード
194
ユーミンデビュー50周年!私はまだ小学生ですね。中学生の時に友人から「ミスリムがいいぞ!」と聞いて一遍にファンになりました。LPもCDも山のようにあります。60前後の男女はみんなユーミンで育っていますよ。そこでこの本!ユーミンと同世代の小池さん、桐野さん、私と同世代の江國さん、川上さん。そして若い綿矢さんと柚木さんと、何とステキなラインナップ!小池さん、江國さん、柚木さんは読んですぐに誰か解る文体と雰囲気ですね!ユーミンの曲は少女の繊細な心象風景から男女の恋の機微まで、本当にレンジが広くて大好きです。2022/07/14