内容説明
宗教戦争のさなか、通念や世間の道徳に懐疑の目を向けつつ、自然に従って生きることの喜びを説いたモンテーニュ。その著『エセー』では、自己の判断力を試し鍛えていくさまが、自由な文体によって描き出される。異文化への関心と共感、戦時における人間の狂気や暴力、性の歓び、ボルドー市長としての政治経験、旅と読書の愉楽など、扱われるテーマは実に幅広く、われわれの心を揺さぶる文章に充ちている。ストア的克己主義と節度ある快楽主義とを往還し、メメント・モリの受容から拒否へと至る過程で、独自な思想が紡がれていく。類まれな開明的人物の核心に迫る出色の講義。文庫オリジナル。
目次
まえがき
第1章 「今日は何もしなかった」──『エセー』に見るモンテーニュの脱力的生きかた
1 モンテーニュの時代のヨーロッパ
2 モンテーニュの生涯(一五三三─九二)と『エセー』
3 現世と来世
4 性愛と「自然」
モンテーニュと同時代の西洋絵画(1)
第2章 『エセー』における死と幸福──「想像」による幸福、メメント・モリ
1 「幸不幸の味は大部分われわれの考えかたによること」
2 「哲学するとは死ぬことを学ぶこと」
3 「容貌について」
モンテーニュと同時代の西洋絵画(2)
コラム(1) マリー・ド・グルネー
第3章 モンテーニュのパイデイア──旅と書物による「判断」の形成
1 大旅行と「判断」の形成
2 ルネサンスの学問と社会
3 モンテーニュにおける学問と教育
4 モンテーニュと旅
5 パイデイアによる人間形成
モンテーニュと同時代の西洋絵画(3)
第4章 他者へのまなざし──新大陸の原住民
1 「食人族について」──「文明」と「野蛮」の弁証法
2 「馬車について」──植民地主義批判
モンテーニュと同時代の西洋絵画(4)
コラム(2) モンテーニュの死とその後
第5章 モンテーニュとラ・ボエシの友愛論1 モンテーニュの友愛論
2 ラ・ボエシ『自発的隷従論』における「友愛」の諸相
モンテーニュと同時代の西洋絵画(5)
第6章 モンテーニュの政治観──乱世における法と秩序
1 政治の実践と原理
2 保守主義と自由
モンテーニュと同時代の西洋絵画(6)
コラム(3) モンテーニュの塔訪問記
第7章 身体の経験──老、病、性
1 身体の条件
2 老い
3 病
4 性
5 身体と「自然」
モンテーニュと同時代の西洋絵画⑦
モンテーニュ入門のための文献案内
あとがき
感想・レビュー
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