ちくま学芸文庫<br> モンテーニュ入門講義

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ちくま学芸文庫
モンテーニュ入門講義

  • 著者名:山上浩嗣【著者】
  • 価格 ¥1,485(本体¥1,350)
  • 筑摩書房(2022/07発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480511102

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内容説明

宗教戦争のさなか、通念や世間の道徳に懐疑の目を向けつつ、自然に従って生きることの喜びを説いたモンテーニュ。その著『エセー』では、自己の判断力を試し鍛えていくさまが、自由な文体によって描き出される。異文化への関心と共感、戦時における人間の狂気や暴力、性の歓び、ボルドー市長としての政治経験、旅と読書の愉楽など、扱われるテーマは実に幅広く、われわれの心を揺さぶる文章に充ちている。ストア的克己主義と節度ある快楽主義とを往還し、メメント・モリの受容から拒否へと至る過程で、独自な思想が紡がれていく。類まれな開明的人物の核心に迫る出色の講義。文庫オリジナル。

目次

まえがき
第1章 「今日は何もしなかった」──『エセー』に見るモンテーニュの脱力的生きかた
1 モンテーニュの時代のヨーロッパ
2 モンテーニュの生涯(一五三三─九二)と『エセー』
3 現世と来世
4 性愛と「自然」
モンテーニュと同時代の西洋絵画(1)
第2章 『エセー』における死と幸福──「想像」による幸福、メメント・モリ
1 「幸不幸の味は大部分われわれの考えかたによること」
2 「哲学するとは死ぬことを学ぶこと」
3 「容貌について」
モンテーニュと同時代の西洋絵画(2)
コラム(1) マリー・ド・グルネー
第3章 モンテーニュのパイデイア──旅と書物による「判断」の形成
1 大旅行と「判断」の形成
2 ルネサンスの学問と社会
3 モンテーニュにおける学問と教育
4 モンテーニュと旅
5 パイデイアによる人間形成
モンテーニュと同時代の西洋絵画(3)
第4章 他者へのまなざし──新大陸の原住民
1 「食人族について」──「文明」と「野蛮」の弁証法
2 「馬車について」──植民地主義批判
モンテーニュと同時代の西洋絵画(4)
コラム(2) モンテーニュの死とその後
第5章 モンテーニュとラ・ボエシの友愛論1 モンテーニュの友愛論
2 ラ・ボエシ『自発的隷従論』における「友愛」の諸相
モンテーニュと同時代の西洋絵画(5)
第6章 モンテーニュの政治観──乱世における法と秩序
1 政治の実践と原理
2 保守主義と自由
モンテーニュと同時代の西洋絵画(6)
コラム(3) モンテーニュの塔訪問記
第7章 身体の経験──老、病、性
1 身体の条件
2 老い
3 病
4 性
5 身体と「自然」
モンテーニュと同時代の西洋絵画⑦
モンテーニュ入門のための文献案内
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

岡本 正行

30
モンテーニュの書いた『エッセイ』そのものは、長文の対策で、初めから終わりまで、読み通すのは、なかなか根気がいる。このような原文に即した解説文を読むのは、原作を理解するにはもってこいだ、そのうえで原文を読む。なおよくわかるというものだ。そして著者や原作の書かれた地域や時代の背景をふまえているので、なお理解しやすいと思う。文章もわかりやすい。2022/11/28

ラウリスタ~

16
モンテーニュのエセーって一見易しそう(名言集、下手したら「人生が輝く百の言葉」とかいうタイトルで抄訳が売れそう)なんだけど、あまりに膨大で脈絡がないので、捉えどころがない(現代人からみると、「当たり前じゃん」と思えてしまうところに、彼の前衛性があるらしい)。過激な逆説(パスカル)に惹かれる二十歳ごろの青い学生時代にはわからなかった、生と肉体を肯定する中庸なモンテーニュの魅力を、「現代的」価値感の源泉として再発見する本。想定読者は、大学卒業後に無意味な競争を強いられる社会で疲弊する人々か?大学での講義を元に2022/03/27

本のロマンス

10
フランスの宗教改革時代の「モンテーニュ」の思想の解説書です。その思想は多岐の分野にわたりますが、“いかにして幸せに生きるか”を示唆する提言に富み、私には宝の山でした。その核心は、✰幸不幸は心の持ち方・事の捉え方次第 ✰贅沢や大きな成功を求めるよりも、日常の中のささやかな喜びや満足を見つけるのがよし ✰今を愉しむ・今の事に没頭するのがよし ✰今日何もしなかったとしても生きのびれただけでよし ✰淺知恵にかまけるのではなく自然に委ねる無為がよし ✰放縦と節制に偏しない中庸がよし・・・など。 2024/08/28

masabi

9
モンテーニュの著作「エセー」の引用と筆者の考察で構成され、モンテーニュの思想と魅力を知ることができる。カトリックを信奉しながらも自然を尊重し、禁欲を否定し老年に至っても恋愛や性愛に励もうとし享楽全般を肯定する。政治においては国家理性を重んじ暴君であろうと服従し秩序の維持を優先することを説く。寛容や自由といった時代を先取りする部分と激化する宗教対立を背景にした時代の刻印が明瞭に現れている。私的な開明さと公的の保守的な現実主義者の顔を持つ。内乱危機と疫病が猛威をふるった故に平凡な生にこだわった。2025/06/30

Fumoh

5
パスカル研究者として名高く、またラ・ボエシの『自発的隷従論』の翻訳者でもある山上氏のモンテーニュ解説です。これはとてもいい本です。何なら、わたしはモンテーニュの『エセー』本書を読むより、こちらを何度も熟読した方がためになると言いたいくらいです(そうしたら怒られるかもしれませんが…)。著者の山上氏は他のモンテーニュ研究家と比べると理解がいっそう深いだけでなく、モンテーニュから注意深く距離を置いて、中立の立場を崩さないまま解説に徹していると思います。また、不要なウンチクは避けて、適度な量の解説に絞っているため2025/02/09

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