内容説明
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今こそ戦争を考える。
太平洋戦争に従軍した漫画家・水木しげるが
実体験を元に描いた未来へ残すべき傑作戦記漫画
大ボリューム20ページ
歴史的発見『総員玉砕せよ!』構想ノートを巻末特別収録
太平洋戦争末期の南方戦線ニューブリテン島バイエン。
米軍の猛攻で圧倒的劣勢の中、日本軍将校は玉砕を決断する。兵士500人の運命は?
著者自らの実体験を元に戦争の恐ろしさ、無意味さ、悲惨さを描いた傑作戦記漫画。
没後に発見された構想ノートを特別収録。
作品に込められた魂の決意が心に響く新装完全版!
目次
ニューブリテン島 ココボ
バイエンの雨
重労働とビンタ
小指
正月
敵上陸
斬込隊
本陣地の一角くずれる
本田軍曹の死
玉砕
その夜のこと
聖ジョージ岬
死の使者
みなごろしの岬
あとがき あの場所をそうまでにして……
解説 足立倫行
特別収録 『総員玉砕せよ!』構想ノート
新解説 発見された構想ノートを読んで 足立倫行
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
61
兵隊が上陸したのは天国のようなのどかな島。一見飄々としているが、人の業と戦争の惨たらしさがヒシヒシと伝わる。戦場では人としての尊厳が壊され、理不尽という言葉に尽きる。戦後80年。いまだに世界各地で紛争が絶えない。仏版の本作が「未来に残したい漫画」遺産部門受賞。2025/08/05
yamatoshiuruhashi
55
水木しげるの体験に基づくフィクション。とは言え9割方は事実だと言う。本書に出てくる下士官の中には「昭和史」のなかで戦後百貨店だか遊園地だかに勤め一緒に南方再訪を果たすことになる人だと思われる人物もいる。一コマ一コマに作者の執念が乗り移ったような作品。実は本作は出版当初からのあらゆる本を全て持っているが、講談社文庫の「新装完全版」ということで購入。どの本も処分しようとは思わず、全てを本棚に納めている。孫子に読ませるために。悲惨な作品。庶民として戦争に引っ張られたくはない。かと言って侵略されるのもごめんだ。2023/02/22
十川×三(とがわばつぞう)
53
90%事実。歴史的な価値が高い戦地記録。戦争の残酷さは文章より漫画の方が伝わりやすい。▼戦地で左腕を失い帰国。後に日本を代表する漫画家になる。体験した日々、空気感を漫画で伝える。これは奇跡的なこと。他国では皆無だろう。もし右腕を失っていたら存在しない作品。▼ビビビビッ。ビンタされた時の音。▼ワニに食べられた兵士もいた。2022/09/12
瀬谷
42
特に石山軍医が印象的なキャラクターだった。時代背景もあるが、潔く死ぬことが美談とされ、生き延びることが恥や裏切りのように扱われるのには共感できない。飢餓や病気、そして上官のメンツのために死へと向かわされる姿から命の軽さを、さらには話が終わった後のあとがきで何とも言えないやるせなさを感じた。2023/12/25
のぶのぶ
33
「軍隊というものがそもそも人類にとって最も病的な存在なのです。本来のあるべき人類の姿じゃないのです。」、実体験、実際に戦地に行き、片腕をなくし、生きて帰ってきたからこそ書ける漫画。決して、丈夫な兵隊でなく、あきらかに巻き込まれてしまったいち兵卒だからこそ、またリアル。一緒に軍隊に入らされた仲間が死んでいく。それも戦闘でなく命を落としていく。玉砕、それもちゃんと守る必要があり、そうならばまだ良いのだけれど、どうでもよいようなところで死ぬ納得できなさ。上等兵からの理不尽な暴力描写も悲しいもの。2022/08/09




