講談社学術文庫<br> パリ万国博覧会 サン=シモンの鉄の夢

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講談社学術文庫
パリ万国博覧会 サン=シモンの鉄の夢

  • 著者名:鹿島茂【著】
  • 価格 ¥1,485(本体¥1,350)
  • 講談社(2022/07発売)
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  • ISBN:9784065289068

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内容説明

絶景、奇怪、絢爛。物神【フェティッシュ】の聖堂のスペクタクル!

現在も世界各国が競って開催する万国博覧会。
それは、サン=シモンという男が思い描いた「産業という宗教」を奉ずる者たちが、物神たる機械と商品の数々によって荘厳した神殿として創められた。
万博というものを、単なる近代産業技術のひとこまとしてではなく、来たるべきユートピアとして構築され、資本主義文明の展開そのものを懐胎した運動であったことを活写する、この著者だからこそ書けた万博論の決定版!

【本書「まえがき」より】
もしこの万博理念の形成過程史が解明され得るなら、それは、むしろ実際の万博の歴史よりも、絶対に面白いはずだ。なぜなら、それは単なるモノの歴史ではなく、モノに関するイデアの歴史、さらに言うなら近代文明についての観念の歴史となるはずだからである。

【本書の内容】
まえがき 万博の神学、あるいは万博史の逆説
第1章 サン= シモンの鉄の夢
第2章 転向サン= シモン主義者ミシェル・シュヴァリエ
第3章 パリ万国博覧会にむけて
第4章 万博理念の確立
第5章 サン= シモン主義のユートピア、一八六七年パリ万
国博覧会
第6章 アミューズメントとしての万博会場
第7章 博覧会場の外で
第8章 新たなユートピア〈恒久的万国博覧会〉にむけて
文献目録

※本書の原本は、『絶景、パリ万国博覧会』として1992年に河出書房新社より、その後2000年に小学館文庫より副題「サン・シモンの鉄の夢」として刊行されたものです。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヨーイチ

28
大阪万博の惨状、中学二年時に大阪・高槻の友人宅に泊めてもらい!(多分母親が何がしかの謝礼をしたとは思うが、当人は全然意識なし、飯も食わせてもらった)数日間千里に通い詰めてパビリオンを観まくった体験(正に若さとエネルギーの発散)とかで「さて万博とは何であったか」と言う誠に俗な想いから購入。久しぶりの鹿島茂、尊敬し気にしている物書きの一人。ずいぶん無茶な行動だったが「そうまでしても観ておくべき物」って感じは殆どの日本人が持っていたのも事実だと思う。第二回、三回のパリ万博の詳細な研究とレポート。続く2023/12/17

ラウリスタ~

13
1992年の本を30年後に文庫化。1855年と1867年のパリ万博。サン=シモン主義者たちが、自由貿易推進者である独裁者、ナポレオン三世を支持する形で盛り上がった、政治的には体制順応で、労働者の教化とフランス製品の競争力を高めることを目指した、第二帝政下の万博。基本左翼の多い人文系研究者(あるいは同時代の作家)は万博を好まないが、過去の万博だったら懐古的に楽しめるよねという。思えばゾラも、67年万博で大賞受賞したメソニエ、カバネル(皇帝買い上げ)を批判し、マネを擁護するから、反万博なんだな。仏のブランド化2022/10/03

MUNEKAZ

12
世界史の教科書で扱われる万博はロンドンの第1回だけど、本書はパリ万博。ナポレオン3世の晴れ舞台という印象も強いが、そのデザインを描いたのはサン・シモン主義を信奉する官僚だった。というわけで「万有」の博覧会。すべての産業製品を一堂に会し、高度資本主義の精神をフランス国民に教育する場として万博が開かれたとする。でもこの精神ってどこまで後世に伝わったのだろうかな。最終的に目指したのが常設のでかい博物館だったというあたり、今の国際イベントとは全然違うよなぁと。高邁な理想は風化し、非日常の祝祭が残ったということか。2024/02/16

ポルターガイスト

3
鹿島茂の本を読むのは10年ぶりくらい。『怪帝ナポレオン3世』ぶり。『3世』よりも以前の作品らしく,ややアカデミックな色合いが強めだが,文体の人なつこさや勢いは変わらない。まず読んでて楽しい。本書の主張によれば,現代の資本主義社会の大部分はパリ万博で示されたサン・シモンの鉄の夢から生み出されている。既製服もデパートもブランドも五輪も電気を使った発明品も。だからこの現代世界は万博が見せた夢の続き。続編が読みたかったけど,もしかしたら,読まなくてもイオンやアウトレットモール行きさえすれば…2022/08/19

げんき

1
万国博覧会というイベントが1867年の時点でもっていた先見性に驚かされる。現代社会を最も大きく変えた技術はもちろんコンピュータとインターネットだろうが、逆にいうとこの2つの技術なしで可能な範囲の発展はほとんど全てパリ万博にその痕跡を辿ることができるのだな、と思わされる(のが鹿島先生の筆の妙)。また、そのパリ万博の先進性を支えたサンシモン主義という思想や第二帝政という体制(どちらもマルクス主義的な史観では極めて評価が低い)に肯定的な見方を提示している点も(発表当時は特に)挑戦的だったのだろう。2022/09/18

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