内容説明
今までほとんどの人が、気に留めなかった家の中の生き物たち。
生態学者の著者が家の中を調べると、そこには20万種を超す多種多様な生き物がすみつき、複雑な生態系をつくりあげていた。
・家には、どこに、どんな種類の生き物が、どれくらいいるのか?
・そうした屋内の生物は悪さをするのか?それとも、人の役に立つのか?
・徹底的に除菌すると、家の生態系はどうなるのか?
などなど、あなたの暮らしや健康に影響大の身近な「自然」の話!
目次
序章 ホモ・インドアラス
第1章 驚異
第2章 自宅の熱水泉
第3章 暗闇に目を凝らす
第4章 不在という病
第5章 生物の流れを浴びる
第6章 黒カビの謎
第7章 遠視眼の生態学者
第8章 カマドウマは何の役に立つのか?
第9章 ゴキブリ問題は私たちの所業
第10章 ネコが連れて来るものにご用心
第11章 新生児の身体にガーデニング
第12章 生物多様性の風味
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
90
人は昔から、家の中に汚いものがあると、掃除する、消毒する、殺菌する。新たな化学物質が出て使われるたびに、「防御行動や科学的防御力をますます進化させた病原菌や害虫が有利になり、一方、人間の役に立つ生物種は圧倒的に不利な状況に追い込まれる。」つまり、清潔を極めるほどに、耐性を持った病原菌や害虫の天国と化していくわけである。2021/05/30
ばんだねいっぺい
44
面白い!レーウェンフックの孤軍奮闘から、イエローストーンとPCRが繋がり、トキソプラズマ原虫が人事を司り、黒カビは建材にのってやってくる。消毒が災いしてシャワーの水は、危険となり、忌み嫌われるカマドウマには産廃をやっつけるパワーがある。 やはり、自然は自然のままということか。 2021/06/05
yyrn
32
病気にかかり抗生物質を投与されると悪い菌はなくなるが、良い菌も一緒になくなり、その隙に耐性のある悪い菌がはびこって、さらに具合を悪くする。それをやっつけるためにさらに強い抗生物質が多投され、さらに耐性のある菌が・・・の繰返しを断つためにカラダでも生物多様性(=多様な菌を保持し生態系として維持すること)が大事だという理屈に納得した多くの人たちでも、家の中は常に清潔を保ち、虫やカビを見つければ殺虫剤や消毒薬を使って、せっせときれいにしたがるのはなぜ?と作者から意地悪な質問を出されそう。2021/09/17
ゲオルギオ・ハーン
28
家にいるとたまに目につく小さな蜘蛛や目には見えないけど存在している微生物が気になり、読んでみました。実はこれまで生態学の研究となると熱帯雨林がメインで、もっとも身近な家の中はあまり研究されていなかったそうです。私たちの身のまわりには微生物も入れると約20万種の生物がおり、それぞれの適応戦略に特徴があります。しぶといイメージのある害虫の代表格:Gについては家にいる種類は家(というか対人)適応に特化しており、実は屋外の多様な生態系には対応できないそうです。2022/07/19
羽
26
家には、なんと多くの未知の生物がいるのだろう!それもほとんどが人間に何の害も及ぼさないか、有益な生物種だ。その昔、レーウェンフックという人物が、胡椒の中から原生生物を発見した。その後、数百年間、屋内の有害生物の研究ばかりが進められた。無害な生物は無害なゆえに見向きされなかったのだ。ロブ・ダンたちが家の中の無害な生物たちを調べ始めると、驚くべきことが次々と分かった。シャワーヘッドに細菌がたくさん棲みついていたら、ちょっと嫌だな。そう思う人に、ぜひ読んでほしい。読後は家が今まで住んでいた家とは違って見える。2021/12/27