プール葬

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プール葬

  • 著者名:新井千裕【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 中央公論新社(2022/06発売)
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  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784120046827

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内容説明

灰は灰に、塵は塵に、猫はプールに。100万回より、もっと生きるかもしれない猫たちの物語。主人公の僕は猫屋敷の神様でもあるプール管理員。ある朝、プールが誰かに汚されていることに気づき、犯人を突き止めようとする。登場してくるのは、ありふれて死ぬ野良猫たちとプールを夢見る一匹の白猫。3万人の悪魔に怯える引きこもり青年。恋人を自分の居場所にしていたストーカー女。無限の神の定理で悟りをひらいた放浪老人。その神たちがタイプライターを永遠に打ち続ける限り、猫たちも僕も無限の回数よみがえるのかもしれない。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

174
ゆっくりと時間をかけて、味わいながら大切に読んだ作品です。雰囲気がなんとも言えないステキさで、村上春樹さんや大崎善生さんのような作風です。特にどうこうといった目立つコトは起きないのですが、サラサラと流れる文章はまるで音楽を聴いているかのような心地よさです。つまらないと思う人はいると思いますが、猫が結構出てくるので猫好きな方は試しに手にとっていただけたらなと。読んでいて疲れない、癒されるワケではありませんがココロがフラットになるありがたい作品に出会えたと思います。他の作品も引き続き、読んでみようと思います。2018/05/19

あじ

56
夜明けの無人プールで、埋葬ごっこの儀式。無音に浸る生と死の狭間で、心身を揺らし清めるかのように繰り返す。文中を交錯する「核と放射能」から、「核燃料プール」を想起させる。彼らの病の原点であるかのように、物語の中心でプールは水を湛え笑わず怒らず凪いでいる。コウガンに溜まった水は、このプールの水なのか…温く浸かり過ぎた彼への戒め、訓示の手解きだったのかもしれない。空気のような小説。2015/02/03

メタボン

38
☆☆☆★ 放射能、腫れる睾丸(玉が膨れるのではなく袋に水がたまる)、東北、といったところに同時代性を感じる。新井千裕の初期の作品は「同時代性」に満ちていた。特に「モニター」は。変わった女性の登場人物という点では今回は元カノの存在や「マトリョーシカ姉妹」が該当。いつも感じさせる「せつなさ成分」は、今回はちょっと少ないか。ああ、これで新井千裕の単行本はすべて読んでしまった。寡作な作家だけに、なかなか新刊が出ない。次作が待ち遠しい。2019/05/14

つね

33
初読みの作家さん。プールを棺桶に、スタート台を墓石に見立てる。他にもちょっとずつ斜めに物事を眺める癖があるんだろうか。良く言えば哲学っぽさがある、のかな?プールの裏方さんの何ともない日常の人生観、元恋人の因縁、ゴミ屋敷アパートの住人の話。感心したのは、このネタで飽きさせずに読ませる、自虐気味だけどあっさりした文体。静かにゆっくりと読み終えましたが、感想書きにくい。この作家さん、もう一冊くらい読んでみるか・・・2019/06/06

あかは

32
プールにたゆたうように穏やかな話。死がひとつのテーマなんだろうけど、深刻ではない。静かな話。2015/02/22

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