内容説明
現代政治の“スフィンクス”プーチンの実像を解明!“Mr. Putin, Who?”(プーチンって、8月~195一体、誰?)“What Putin Wants?”(プーチンは何を欲しているのか?)今、世界がその動向(思惑や出方)を固唾をのんで見守っているロシアのプーチン大統領。ロシア学の権威が、世界に先駆け、その実像を解明した野心的労作である。
(本書は、2015年4年22月に刊行され、2022/06/23に電子化したものです。)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Isamash
20
コロンビア大で博士取得の木村汎・北大名誉教授による2015年出版の著作。情報が少ない中、プーチンの経歴や人脈等、ヒトとなりをかなり徹底的に調べようとした労作。プーチンは、大学院での論文も他人任せでしかも盗作によるらしい。マッチョな姿を示す映像も幾つかはやらせらしい。例えばロシア極東での虎退治によるテレビクルー救助劇の虎は、動物園の大人しい虎らしく、嘘つきそのもの。クリミア併合のプラスマイナス面も分析し、結論として、プーチンは真の愛国者ではなく、彼の言動は自身のサバイバルを目指したものにほかならないと看破。2022/04/25
funuu
11
プーチンはクレムリンの主人であると同時に、その中に閉じ込められた囚人なのだ。プーチンは(かって)エリツィン同様に引退し、ダーチャ(別荘)に引きこもるかのように語っていた。だが、プーチンにとってはこの世にはおよそダーチャと名づけられるものなど、事実上存在しないのだ。彼は、結局クレムリンの壁のなかで死を迎える羽目になるだろう。2015/09/21
バトルランナ-
10
4.7点。不安だったので新型コロナ関係の本は5冊読んだけど、何の役にも立たなかった。ウクライナが心配でこの本を読んだ。ウクライナ戦争の前に書かれた本なのでこれも役に立たないんじゃないかと思ったけど、そんなことはなかった。なるほど〜と膝を何回も叩いた。プーチンって、裏切って生きて来たのね。多くの日本人は裏切られたと感じていたが、この本はかなり警鐘を鳴らしていたんだね。2022/11/14
Uz あなぐま
4
「顔のない男」「政治的スフィンクス」プーチンが大統領になるまでの半生、家族、ロシアを動かすインフォーマルなシステム、引退できない理由。現代に生きる人物と思えないほど限られた資料と証言、それらの中から事実と、操作された情報を選別する作業はさながら歴史ミステリーを読むように面白い。プーチン=ゴッドファーザーという例えが秀逸で、彼が何を基盤にして何をしているのかがイメージできる。「法や制度」よりも「人の繋がり=コネ」が重視される利益分配システムの中でプーチンは支配人であると同時に、どこにも行けない囚人でもある2020/01/30
sonsofmarket
3
大著だが読みやすい文章ですらすら読める。これを押さえればプーチンに対する基本的な情報は得られる一冊。ロシアにしろ中国にしろ、引退後の報復を恐れて指導者が実質的に引退出来ない事は何をもたらすのか。2015/08/06