内容説明
戦後、国鉄が生み出した数々の名車たち。その陰では、構想や計画が立てられたものの、実現しなかった鉄道車両も多く存在した。本書では、こうした日の目を見なかった鉄道車両について、その時代の鉄道事情を踏まえながら、その後の鉄道車両にどのように影響を与えたかを振り返る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
10
日本の鉄道は、高度成長期後半からその末期にかけて、新幹線網の発展と在来線の有効活用、貨物輸送の活性化に結構な資源を投入してきたのだな、と、得心が行く。そんな、アイディア出しのブレストの断片のような計画から、試験車両まで建造し、試験を繰り返したが日の目を見なかった計画、数十年の間を置いて、現在にまでつながる計画など、技術開発の困難さを教えてくれた好著である。ただの鉄オタの占有物にするには惜しい本である。日本の環境では絶対に必要にならないものまで、研究していた鉄道工学の強さと厚みと凄みが伝わってきた。2021/04/10