本屋という仕事

個数:1
紙書籍版価格
¥1,870
  • 電子書籍
  • Reader

本屋という仕事

  • 著者名:三砂慶明【編集】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 世界思想社(2022/06発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784790717706

ファイル: /

内容説明

本屋は焚き火である――本と人が集い、直接触れあえる場所、本屋。なぜ人は敢えて本屋をたずねるのか。書店員は仕事に何を求め、自分の個性をどう生かし、どんな仕事をつくっているのか。本屋という仕事から見える、新しい働き方の形。

▼本文「序」より
 この企画をすすめるにあたり、最初、脳裏に浮かんだのが、定有堂書店の奈良さんの言葉でした。私が定有堂書店でお話を伺っていて印象的だったのは、「本屋は焚き火である」というお話でした。
 一冊一冊の本には、それぞれ著者の熱がこめられていて、それがまるで焚き火のように読者を温めている。焚き火は暖かいからまわりに人が集まってきますが、みんなが火にあたりに来るだけではいつか消えてしまいます。でも、来る人がそれぞれ薪を一本ずつ置いていけば、火は燃えつづけることができるのだと奈良さんに教えていただきました。私たち本屋は本を並べることで、読者は本を買うことでお互いを支えつづけています。私は奈良さんの言葉を聞いて、はじめて自分の仕事を通して何か世の中の役に立っているのかもしれないと実感することができました。
 私たちの生きている世界は、私たちが積み重ねてきた仕事の上に成り立っています。私たちが住む家も、着る服も、食事も、誰かの仕事の結果です。私たちは生きている時間の大半をそれぞれの仕事に費やしています。だから、良い仕事をすることは、より善く生きることと密接につながっています。私は本屋で働いているので本が中心ですが、本屋の仕事について改めてもっと深く知りたくなりました。尊敬する書店員の方たちは、なぜ本屋を選んだのか。働くことを通してどんな価値を生みだしてきたのか。本への愛憎。本棚の耕し方。お客様との対話。お店を成り立たせるためのマネジメントについて、書店員の先輩方にたずねてみることはきっと、ほかの職業にも通底する本質的な問いだと信じています。

目次

序 本屋は焚き火である
三砂慶明(読書室・梅田 蔦屋書店)
第Ⅰ部 火を熾す――本屋のない場所に本への扉をつくる
1章 汽水空港という信仰
モリテツヤ(汽水空港)
2章 言葉をひらく場所
宇田智子(市場の古本屋ウララ)
3章 背表紙を眺める
田尻久子(橙書店・オレンジ)
4章 本屋から遠く離れて――定有堂教室「読む会」のこと
奈良敏行(定有堂書店)
鼎談1 完璧な本
辻山良雄×堀部篤史×黒田義隆 司会・構成・追記:北村知之
第Ⅱ部 薪をくべる――日々の仕事から新しい価値がうまれる
5章 書店の棚論――「棚づくり」について
岡村正純(大阪高裁内ブックセンター)
6章 本屋の生態系――本屋に集まる人が作り上げるもの
徳永圭子(丸善博多店)
7章 書店員の本屋の楽しみ方――「観察」のすすめ
東二町順也(紀伊國屋書店新宿本店)
8章 本にかかわる全ての仕事
北田博充(書肆汽水域・梅田 蔦屋書店)
鼎談2 あなたのための本
磯上竜也×長江貴士×鎌田裕樹 司会・構成・追記:北田博充
第Ⅲ部 火を焚き続けるために――本屋の仕事を拡張する
9章 読者への窓を広げて――食べるように読み、つくるように書く
狩野俊(コクテイル書房)
10章 これからの読者のために――出版物流から読書環境のサポートまで
田口幹人(合同会社未来読書研究所・北上書房)
あとがき
BOOK LIST
BOOK STORES MAP

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

114
私たちの人生がことばでできている以上、人間にとって本が不要になる時代はやって来ないと思っています、とあとがきにありました。京都に400年前から続く永田文晶堂という仏教書の専門書店があり、その本棚に永田文晶堂自身が刊行している本が並んでいる。かつての本屋は、印刷、出版、販売をかねていたそうだ。出版社が約3100社、本屋が約11000店舗、取次が18社という砂時計のような日本の出版業界の仕組み自体が問われるようになってきている時代のような気がする。本書に載る推しの本屋でこれからも本を買って、読書を楽しみたい。2022/08/11

J D

79
 本と本屋に関する静かな情熱と熱い思いが伝わってくる本。紹介される本屋の中には、出張の際に時間が合えば立ち寄る梅田の蔦谷、博多の丸善、那覇のジュンク堂などがあり、次回訪れるのがワクワクしてきた。図書館でも本屋でも本棚を見るのは飽きない。背表紙を見ながら色んな想像を巡らす時間に幸せを感じる。この本を読みながらそれと似た感覚を覚えた。焚き火だなー!2023/04/26

けんとまん1007

69
本屋という言葉の響きがいい。書店ではなくて、本屋。本が前面にたつのか、人が前面にたつのかだろう。前面にたつおいうのも、少し違うようには思うが・・・。本は読む、よく読むほうだと思う。そんな一方で、実は、本は殆ど買わなくて、図書館を利用している。本屋と図書館については、以前、1冊の本を読んだ。共通するのは、焚き火をくべるということ。たまに本屋を覗くと、とても新鮮な気持ちになる。何を、この本屋さんは伝えたいのかな・・・と考える。そんな感性だけは持ち続けたい。2022/07/31

ナミのママ

57
編者が「コロナ禍で本屋の仕事を見つめ直す中で感じた疑問を尊敬する書店員の方に教えていただいた本」とある。登場するのは18人、全国各地、様々な形態の書店員たち。独立系書店の方はそこに至るまでの過程が小説のようで面白かった。大手書店員はあらゆる顧客に対応するのだからそれもまた大変だろう。出版取次を含む物流の流れの変化もこれから増えそう。専門的な部分は流し読みしたがBOOK LISTだけでもなかなかだと思う。2022/08/09

よっち

46
本と人が集い、直接触れあえる場所、本屋。なぜ人は敢えて本屋をたずねるのか。書店員は仕事に何を求め、自分の個性をどう生かしどんな仕事をつくっているのか。本屋という仕事から見える新しい働き方の形。今回は18人の書店員を取り上げられていて、それぞれがどうやって今のスタイルに至ったのか、そこから垣間見えるこだわりが綴られていましたけど、その中で特に印象に残った、売る自信がないのは自分がその意味をわかっていない本で、だから説得力がない、売れる土壌がなければ売れない、というのは全くもってその通りで突き刺さりました…。2022/08/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19711201
  • ご注意事項