ダマして生きのびる 虫の擬態

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ダマして生きのびる 虫の擬態

  • 著者名:海野和男【文と写真】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 草思社(2022/06発売)
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  • ポイント 720pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794225801

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内容説明

著者は2021年の夏に兵庫県の伊丹市昆虫館で
オンラインにより「昆虫の擬態」についての講演を行った。
本書は好評だったこの講演をもとにまとめられたものである。

著者は昆虫写真家として50年ぐらいのキャリアがあるが、
そのテーマの一つが世界のいろいろな擬態昆虫の写真撮影である。
その成果は『昆虫の擬態』(平凡社、自然写真協会賞)ほかの写真集にまとめられている。
本書はそれらの中から選りすぐりのカットを採用して長年の活動の成果を見せてくれる本だ。
またQRコードをところどころに付してあり、著者の作った昆虫の精細動画を見ることもできる。
昆虫の「擬態」という不思議な生態に触れるのに、本書ほどの格好な入門書はないだろう。

擬態は英国の博物学者でダーウィンなどと同時代のベイツなどにより発見された現象である。
植物の葉(コノハムシ)、枝や木の皮(カレエダカマキリやナナフシ)、
花弁(ハナカマキリ)などに擬態(そっくり真似る)することから始まり、
強い虫(アリやハチや毒虫)のカタチや模様を真似するもの、ヤママユ蛾などのような
ビックリするような色彩やメダマ模様を隠していて触れると
突然それを見せて威嚇するものなど、何種類かのパターンがある。
現象としては明らかだが、それがどのように進化の過程でその昆虫に備わったかのかは、
実は今日まで完全に解明されたわけではない。
本書の25ページにあるムラサキシャチホコの枯葉が丸まったような形態など、
だまし絵の画家が描いたような見事さであるが、ではなぜ人間の目に
そのように見えるのかは(見える必要があるのか)はよくわかっていない。
本書のまえがきで著者は「鳥の目、虫の目、ダマす虫」という一文でこう書いている。

「昆虫たちはどのようにして、擬態を進化させてきたのだろうか。
――昆虫が身を守りたいのは捕食者からである。
――そのなかで優れた視覚を持ち擬態の効果があるのは鳥類である。
つまり昆虫の擬態や威嚇は鳥に向けて開発されたものなのだ。
それでは鳥には昆虫はどのように見えているのだろうか。
――ともかくも擬態を考える上で、人、鳥、虫の3者の関係を考えることはとても重要なことだ。」
「――なんだか不思議な姿をした昆虫がいるなと思ったら擬態を疑い、
それが何の真似をして、どんな得があるのか。また誰がだまされているのかを考えてみるのは面白い。
この3者の関係に気づけることが、生物進化が起こした『自然のだましあい』という面白さを体験する醍醐味だ。」

自然を考えるためのヒントとしてこの「擬態」現象に着目してみる、その入門書として作られている一冊だ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

103
擬態、進化の過程でこうなったと思うのだけどすごいことだ。木の葉にそっくりのコノハムシは葉っぱの色や破れやシミまで完璧にそっくり。コノハチョウもそうだ。天敵から身を守るためとはいえ改めて素晴らしい写真を見ると驚かされる。木の枝を真似るもの、バラのトゲに似せるもの、コケになりきる、地面になりきる、花に化けて獲物をとらえるカマキリ、外敵から身を守るために大きな目玉や蛇の顔に似せるものなど。人間は擬態などは出来ないが実はすでに風景に溶け込んでいる人間もいるのかもしれない。気づかれずに生き続けているのかもしれない。2022/09/14

たまきら

35
フルカラーで楽しめます。いや~なんとまあ、素晴らしいデザイン!「カマキリ何匹いるでしょうか」写真など、遊びもたくさんあって最高です。…今朝ミンミンゼミがうるさいので窓を開けたら、網戸の破れたところから無防備にこちらも見ているので簡単に捕まえちゃいました。とはいえすごい勢いで抗議し続けるので猫が大興奮。「ちょうだいちょうだい」とおねだりされましたが、こっちの耳もキ~ンとしてきたので外へ放してやりました。セミって面白いなあ。猫たちはしばらくすねてましたとさ。2022/08/05

やま

13
海野さんの昆虫の本は写真がきれいで見ていて飽きません。昆虫たちの擬態は不思議だらけです。何がどうなってこのような姿形になったのか?昆虫と我々とは目の構造が違うのに、このような擬態が出来上がるとは神秘的でもあります。海野さんがこうやって本にしていただいたおかげで、自然の不思議に触れられます。2022/12/03

遠い日

11
海野和男さんの写真を求めて。好きすぎる虫の擬態の写真に、知っているものも知らないものも、ほほぉと感嘆しながら見入る。天敵がいるからこその擬態。姿だけではなくその匂いまで擬態することができる虫もいる。逃げおおすための擬態ではなく、待ち伏せて獲物をとるための擬態もある。その擬態の実態はさまざま。海野さんの写真はいつもながらすばらしい。QRコードから精細動画も見られて感動一入です。2022/07/07

ロア

9
ころんとひっくり返ったゾウムシが可愛いな~(*´ω`*)もっふもふな蛾の翅に隠された目玉模様は、開くと本当に何かの生き物に見えるね!2022/07/12

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