内容説明
警察小説の旗手による大河シリーズ「日本の警察」平成編。
「公安は常に同じ相手の仕事だ。だが捜査一課の仕事は毎回、違う相手なんだ」
「捜査一課は目先の事件を追う。公安は、未来を見据えて仕事をしている」
捜査一課と公安一課。同じ警察でありながら相容れない二つの組織に身を置き、昭和を駆け抜けた二人の刑事。
その息子たちは、父と同じ道を歩んでいる。
昭和天皇が崩御し、60年余にわたる昭和の時代が終わりを告げた日に起きた殺人事件。高級マンションに住みポルシェを乗り回す被害者に見え隠れする、極左の過去。
バブル景気の拝金主義に浮かれる世で、思想活動は衰退の一途をたどる。その交錯点で起きた事件を、二人の刑事が追う。
刑事は地べたを這いずる仕事だ。だが、空から全体を見る鷹の目を持て。
父の道を継ぎ鷹となった息子たちの物語が、いま幕を開ける!
目次
第一章 昭和の終わりに
第二章 スパイ
第三章 過去から来た男
第四章 地上げ屋
第五章 探り合い
第六章 長い逃亡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
260
大河シリーズ「日本の警察」平成編。 捜査一課高峰·公安一課海老沢コンビが息子たちの世代へ。親子鷹ってことですね。昭和天皇の崩御、平成が始まった日に起こる殺人事件に、二人が絡んでいく姿がスリリング。昭和を引きずる極左ゲリラや地上げなどと、あの時代の雰囲気を見事に描写する、堂場イズム溢れる刑事小説に魅了されます。2022/07/24
starbro
220
堂場 瞬一は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。昭和編に続いて「日本の警察」平成編第一弾でした。バブル×学生運動の残党、最近色々な作家がバブル時代の小説を書くのは、この時代が魅力的だったからでしょうか❓ 私はバブル後半世代です。 「鷹の系譜」という表現は、刑事を美化し過ぎだと思います(笑) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003628862022/07/30
いつでも母さん
183
『日本の警察』シリーズ昭和編三部作からのこちら平成編。公安・海老沢と捜一・高峰の同じ道を歩む息子たち、まさしく平成に変わったあの日から物語は始まる。ほぼ昭和の半分と平成を生きて今、とても懐かしい空気感と共に読んだ。父親たちのひりりとした関わり方から、どこか丸みのある息子たちに期待と好感をもって、この先を楽しみにしたい。タイトルの意味も好い。昭和編未読の方はそちらからどうぞ(笑)2022/07/12
ゆみねこ
93
捜査一課の高峰と公安の海老沢は、昭和最後の日に起こった殺人事件を協力して捜査することに。昭和の末期の閉塞感、独特の感覚で迎えた平成。バブル景気や不動産高騰、地上げなどを懐かしく思いながらの読書。読み終えてタイトルの意味が良く理解出来る。出来れば昭和三部作を読了してからお読み頂きたい。2022/12/26
雅
91
昭和から平成へという日に起こった事件で公安と捜査一課が手を取り合う。緊張感のある展開で楽しめた2023/05/09