内容説明
リリアン28歳、人間嫌い。自己肯定感はかなり低め、将来への希望もない。1995年、春の終わりに、そんなリリアンのもとに友人のマディソンから手紙が届く。おもしろい仕事があるので、彼女の暮らすお屋敷まで来てほしいという。それで、頼まれたのは10歳の双子のお世話係。なりゆきに任せて引き受けたけれど――子供たちは興奮すると〈発火〉する特異体質だった!? 全米ベストセラー作家ケヴィン・ウィルソンが涙と笑いで〈リアル〉に描く、ほろ苦い愛情と友情の物語。ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、USAトゥデイ紙、タイム誌、ピープル誌ほか、10の全米主要メディアが年間ベストブックに選出!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
130
「あんたたちはただの普通の子供なの、わかった?発火して身体が燃えることがあるけど、でも普通の子供なの」。そう言われて双子のベッシー&ローランドは嬉しかったと思う。だって本当に二人は普通の素直な子たちだったから。その内面をちゃーんと見ようとしない大人ばかりの中に現れたリリアン。彼女は利己的な社会にうんざり。だから双子の本当の気持ちに近づけられた。そして火を前にして人は無力だ。でも火はあらゆる理不尽な言動から護ってくれたのだと思う。「夏が終わるまで、あとどのぐらいある?」「たっぷりあるよ」、ふふっ快哉、爽快。2022/07/03
ちゃちゃ
126
燃える炎は、自分を守るための火。不安、動揺、興奮…心が激しく揺れ動いたとき、突如として発火する。特異体質であるが故に、親からも愛されず遠ざけられ、振り回されてきた双子と、ひと夏だけの約束で二人の世話をすることになったリリアン。彼女もまた、境遇に恵まれず孤独な心を抱えていた…。物語はリリアンのあけっぴろげで真っ直ぐなひとり語りで進み、双子への愛情と信頼に目覚めてゆく姿が描かれて心が熱くなる。守るべき大切なものの確かな手触りは、消えない小さな炎として心の中で燃え続ける。その温もりが余韻として残る作品だ。2022/09/28
☆よいこ
95
人体自然発火現象を引き起こす10歳の双子姉弟の世話をするリリアンの話▽父親がおらず母親は奔放な田舎育ちのリリアンは不幸な人生から抜け出すために勉強し、奨学金を得てお嬢様学校に入学した。だけどルームメイトの身代わりで退学させられ屋根裏部屋で引きこもり生活者になっていた。元ルームメイトのマディソンに頼まれ、ワケありの双子の世話をする。ベッシーとローランドは興奮したり不安になると燃える。発熱発火し火の粉を撒き散らすが、本人たちはまるきり無事だった。リリアンは傷だらけになりながら2人と向き合う▽映像映えすると思う
がらくたどん
89
ご感想に惹かれて。自分の在り方についてごちゃごちゃ説明したり言い訳したりしなくても過ごせる場所を求めて闘う「私たち」の物語。上流女性像から外れても誰からも文句が出ないほどの力を得る事だったり、全て外れカードに見える運命にめちゃくちゃに飛び込む事だったり、「発火」しちゃう事だったり。闘い方は千差万別だが、マディソンもリリアンも「燃える双子」も「じろじろ見られず居られる場所」を求める孤独で頑固な異端児だ。リリアンの饒舌な内声とパワフルな行動が物語から「生きにくい人々」の物語にありがちな湿り気を吹き飛ばし爽快。2022/09/09
itica
85
パッとしない日々を送っていたリリアンが、かつての親友から双子のベビーシッター役を頼まれた。興奮すると発火してしまうアブナイ双子を、子育ての経験のないリリアンが体当たりで面倒を見ることになったのだ。10歳にしてすでに数々の辛い思いをしている双子と、人生がうまく行かないリリアンは、お互いが救いを求めているように見える。何が一番大事なの?信じられるものは何?そんな声にならない言葉で訴えかけてくるのをひしひしと感じた。お勧めです。 2022/11/05
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