内容説明
母の看病のため、学生らしい時を過ごせてこなかった慶子さんは、高校三年生を目前とした春の朝、ケーキのような甘い匂いに誘われ和菓子屋「寿々喜」に辿り着く。
店員の青年に招かれ店内に入ると、出されたのは小さな“どら焼き”。そう、あの香りの正体はケーキではなく“和菓子”だったのだ。
和菓子の魅力に惹かれ、お店に通い始める慶子さん。だが、進級後の新しいクラスで、慶子さんの隣の席になったのは、なんとあの和菓子屋の店員さんで……!?
四季折々の和菓子と、ほんのり甘くじんわり優しい恋物語をどうぞ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツン
100
主人公の記載が「慶子さん」。えっ?という感じだったけど、本当にそんな感じのいい子です。師匠からあんこを受け取るところ、千羽鶴のことについて鈴木君に語るところとかにも、彼女の性格が表れていて、良かったです。周囲のみんなから愛されるし、もう、最初から和菓子屋さんの若女将確定な感じ。常盤さんについていった告白現場のエピソードも驚いたけど、最後になって和菓子さまが、初めて名前呼ばれたとつぶやいたのも驚きました。。普通、そっちの意味じゃないよね。まだまだ二人のことを読み足りないです。。2022/06/22
佐島楓
59
主人公である慶子さんのキャラがとてもいい。天然も過ぎるといやらしくなることがあるが、この子にはそれがない。人物と人物の間に微妙な距離があって、お互い敬意を払っている感じがするのもいい。こういう作品を読むと、高校生っていいなぁと思ってしまいますね。2022/07/08
ぶんこ
56
最近和菓子が出てくる本が続いたからか、上生菓子が食べたくてしかたない。季節を先取りしながら楽しませてくれるのもいいですね。特にひな祭りの3段重のお菓子セットに興味津々。食べたいです。目の前に置かれていたらもったいなくて中々食べられないでしょうけれど。中1の冬に母が倒れ、高3になる直前まで入院していたとは、大変な学生生活。やっと退院して親子3人での生活。それでも慶子さんは、まだ母が心配。そんな時、和菓子屋さんとの縁が拡がって、充実した高校3年生をおくれたのが嬉しい。慶子さんをバス停まで出迎える学さんが素敵。2022/09/23
むつこ
26
いろいろな和菓子関係の小説を読んでいるがこれはまさしく「令和版・和菓子小説」。高校3年生の女の子と、近所の和菓子屋の同学年の男の子が主人公。和菓子と青春が織りなす爽やかで温かくやさしい1年が描かれている。ますます和菓子を好きになり、食べたくなります。2023/04/12
tomtom
23
慶子さん慶子さんとずっと続くので絵本を読んでいるような気分になった。実際ほんわかした気持ちになる。季節のそれぞれの和菓子の想いも書かれていて、やたらと和菓子を食べたくなった。高3から剣道始めるのはすごく勇気がいったと思うけど、素敵な友達とも巡り会えてそれまでの高校生活を思うと本当によかったなと思う。2023/10/11