内容説明
列車はいつも、僕らの日々を運んでく。出会いも別れも、伝えたかった言葉も――。祖母と豊橋を訪れた美羽。「路面電車に乗りたい」という祖母の秘められた思いとは(「二十歳のおばあちゃん」)。故郷への新幹線で想起する父の記憶(「やまびこ」)、貨物列車をめぐる六年生の小さな冒険(「名島橋貨物列車クラブ」)など、心のつながりを描く人生のスケッチ、全5話。『四角い光の連なりが』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
33
列車はいつも僕らの日々を運んでく。出会いも別れも伝えたかった言葉も…鉄道を背景にした心のつながりを描く5つの人生スケッチ。故郷に向かうやまびこ内で父との葛藤を思い起こす会社員の様々な思い、一緒に豊橋を訪れた美羽が知る「路面電車に乗りたい」という祖母の秘められた思い、験担ぎに縛られるタイガースファン、貨物列車クラブと小学校の卒業文集、追い詰められた落語家と夜行列車を巡るエピソードとその後など、ひとつひとつ丁寧な描写で綴られてゆく、穏やかなエピソードはとても優しくて、それぞれが印象的な物語になっていました。 2022/08/04
NAOAMI
16
電車の中でみる、人生の節目やきっかけだったり、各篇の様々な世代の主人公らが織り成す人生の瞬間。故郷に向かうやまびこ内で父との葛藤を思い起こす会社員の後悔と終盤の涙が胸にくる。「タイガースは~」阿呆過ぎる験担ぎに縛られながら人のよさを見せ人生を好転させる話はやたら可愛げで面白い。都電の旧車輛を求めて豊橋へ向かう祖母の祈りが幻想的に繋がる話。アスペの少年と貨物列車のエピソードは筆者(!)の口語文がやたらツボ。落語家の挫折に絡んだ夜行列車は追い込まれた人の迷いが如実。人の想い悲喜こもごもがスンと腹オチし沁みる。2022/07/16
なみ
14
すべての物語に電車が登場する、温かい短編集。 どの話も素敵だったのですが、特に『名島橋貨物列車クラブ』が最高でした。 小学校の卒業文集に載せるための、嘘だらけの作文に続く、1人の男の子の本音と、等身大の日常。とてもかわいくて、とても純粋で、胸が熱くなるような友情と小さな恋の芽生えの描かれた、優しくなれる短編でした。 全体的に作者らしい、ふふっとなってしまうような、穏やかで癒されるシーンや描写が散りばめられていて、とてもよかったです。2022/07/22
こばゆみ
13
電車にまつわるお話が5話の短編集。どの話も面白くて一気読み。前3話で比較的王道の温かな話が続いた後の、後2話がちょっと異質で変化球な感じがまた良かった(^^)。おばあちゃんと都電のお話と、タイガースのお話が特に印象に残った!2022/07/20
ソラ
12
鉄道を結び付けた短編集。タイガースの話が個人的には好きで、ポーランドにも興味を持った。ワルシャワ行ってみたい。2022/08/05