内容説明
彼女と出会った。僕の日常は変わった。
純度100%! 小説現代長編新人賞受賞作。
売れない作家だった父が病死してから、越前亨は日々をぼんやり生きてきた。亨は、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見ていた亨だったが、いつしか自分が彼女に興味を抱いていることに気づく。
自分の力ではどうにもできないことで溢れている世界への反抗。本への愛。父への本当の想いと、仲間たちへの友情。青春のきらきらがすべて詰まった一作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイマックス
102
図書委員で高2の僕は、当番がペアの1年生小崎(女)がクラゲをふらしたいと行動していることに巻き込まれる。小学からの顔見知り遠藤(男)、クラスメイトで万引きしているところを目撃してしまった関岡(女)、クラゲ乞いをする理解者が増えていく。僕と小説家だった父親との葛藤などのストーリー展開。面白かった。◎P134「無関心であることは、人に優しくできないということ。自分勝手であることは、感情の矛先を間違えるということだ。優しさの本質は他者への興味だ。2022/10/30
はっせー
60
青春小説が好きな人におすすめしたい本になっている!なかなか不思議なタイトルと内容になっているが読みやすくて面白い小説であった。主人公越前は高校2年生で図書委員をやっている。同じ図書委員で後輩の小崎がくらげを降らせるために頑張っている。そんな話である。図書委員という設定上数多くの小説が紹介されるため読みたい本が増えていく。この本を例えるなら『わたがしのような甘い世界』ではないかなと思う!2024/05/10
なつくさ
38
「降りますよ、クラゲは」雨乞いならぬ、クラゲ乞いをしている小崎。呪いの言葉を抱え生きる越前。どこか滑稽にも思えたクラゲ乞いだったが、途中からその様相は変わっていく。すっかり心を掴まれてしまいました。優しい言葉たちが、ミズクラゲのようにふわふわと心に降ってきました。世界はとてつもなく理不尽で、どうして?が溢れている。辛いときは、乞え。クラゲを。反撃するのだ。理不尽な世界に理不尽な方法で。とても良かったです。2024/05/06
よっち
37
父親を病気で亡くし、ワーカホリック気味な母と二人で暮らしの高校生の越前亨。図書委員になった亨が、毎日屋上でくらげ乞いをする後輩・小崎優子と出会う青春小説。理不尽に対抗するためにくらげを降らせようとする小崎の相手をしながら、日常を適当にこなす亨。本が好きな図書委員たちの読書あるあるがあって、同じ場所にいるのに温度差を感じてしまう亨がいて、けれどバス停で見かけた小崎をきっかけに、バラバラだったそれぞれの想いが繋がる展開は優しくて、ずっと忘れていた大切なものを思い出してゆく、とても素敵な結末だったと思いました。2022/06/15
Junichi Yamaguchi
28
『優しさの本質は他者への興味だ』… とても良い言葉の羅列は、心地良くスッと響く。 少女が夢描いた「迷惑」は、天まで届いたのだろう。 僕もクラゲを呼んでみようか、悩み中。。2022/11/29
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