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内容説明
GHQによる日本占領期、民間情報教育局(CIE)は「ウォー・ギルト・プログラム」を実施した。評論家の江藤淳はこれを「日本人に戦争の罪悪感を植え付けるための政策」と位置づけ、保守論壇では「洗脳」言説が支持を広げていったが、学術的な根拠に基づくものではない。この政策はどのように計画・実施され、日本人はどう受け止めたのか。複数の資料を通じて、日米双方の思惑と変化を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
51
ウォー・ギルト・プログラム―GHQ情報教育政策の実像』の著者による新書とで、大著には時間的にも経済的にも手が出ない者としてはありがたい/対米戦の責任を日本に置いているにもかかわらず、現在日本では、日米開戦を日本の侵略戦争と捉える意識は低い。05年に行われた『読売新聞』の調査では、44%の人は対米戦争を侵略戦争と捉えておらず、侵略戦争と捉えている人の34%を上回る/この調査結果は何を意味するのかがよくわからない。WGP話の虚妄性は明らかだとしても。日本が戦ったのはどこ?がもう常識とは言えない時代のような2022/07/20
おかむら
30
GHQの日本人洗脳計画がWGIP、とか陰謀好きな右の人たちがいっぱい本書いてますが、そういう本に対して鼻で笑わずちゃんと検証してみた本。こういうの大事だと思うわー。占領期のアメリカの思惑や日本人の感情の揺れ動きが面白い。反戦(厭戦)感情はとても強いわりに加害者意識は低めの我々日本人を知るためのよい1冊でした。最終章のBC級戦犯のドラマの変遷もとても面白かったー。2022/08/28
さとうしん
18
本書によると、ウォー・ギルト・プログラム(いわゆるWGIP)のプロパガンダとしての効果は限定的で、プログラム自体も尻すぼみで終わったということになりそうである。当時の日本人の反応を見ると、日本自身の戦前・戦中のプロパガンダないしは洗脳の方が余程効果を及ぼし、呪縛力も強かったということになりそうである。著者のスタンスとしては幾分日本人の方に寄り添ってはいるが、当時の我々は戦争の実情を知らされていなかったことを踏まえつつも、ここまでふてぶてしくなれるものかという印象を抱いた。2022/06/28
おっとー
11
江藤淳から始まり今でも一部界隈で根深く信じられる「WGIPを通じたGHQの日本人洗脳政策」を、実証的に批判する。戦時中の自国の加害行為、敗戦の事実、人権概念といったものにあまりに無自覚だった日本人に対し、GHQは「ウォー・ギルト」の意識付けを行うため、ラジオ放送などを通じて啓発を図った。しかし、そのラジオ番組には批判の声も多く、さらにはGHQ側の体制の変化もあり、それは何ら一貫性をもったプログラムではなかった。日本人の意識改革を促そうとしつつ、かといって強要による批判は避けたいGHQの苦悩も見て取れる。2022/11/21
新父帰る
9
2022年6月初版。この書の動機は江藤淳の「閉ざされた言語空間」だ。戦後、日本に乗り込んだGHQは捕虜虐待を知らない日本人があまりにも多く、かつ贖罪意識もないことに憤慨して、日本人再方向付け政策として「ウォー・ギルト・プログラム」を始めた。第一段階は戦争の事実を知らせるプログラム、第二段階は「真相箱」から「質問箱」へ移行、「ウォー・ギルト」という言葉は消えた。ただ、占領当初からあった「日本軍の残虐行為(捕虜虐待)対原爆投下」の対立軸は残り、第三段階は幻に終わった。原爆投下の重みが大きかったのだろう。 。2022/08/18
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