内容説明
「カーカス・レビュー」「パブリッシャーズ・ウィークリー」ほか全米各誌絶賛の終末SF巨編
奇妙な行進がはじまってから二週間、「夢遊者(スリープウォーカー)」と呼ばれるようになったネッシーたちの一団は二百人を超えていた。嵐の夜、その姿を追うテレビカメラの前で悲劇が起こる。引き留める妻を巻きこみ、夢遊者のひとりが爆発したのだ。その光景が多くの人々に恐怖心を植え付けた。そして、とある神父がネッシーたちを “悪魔の巡礼団”と称したことが端緒となり、夢遊者を排除する動きが全米に拡大していく。
だが、人々は知らなかった。夢遊者が出現する六か月前、きわめて危険な病菌が解き放たれていたことを--。実業家のガーリンは事業計画発表の鍬入れの儀で洞窟を破壊。飛び出した無数のコウモリに噛まれ、謎の疫病に感染する。その後、狂気に囚われて姿を消した彼は、白い菌糸に包まれた変死体で発見された。ベンジーは菌糸が驚異的な感染力と致死性を有する病菌だと特定するが、すでにパンデミックは地球規模に拡大しつつあった。世界が崩れゆくなか、夢遊者たちだけは何事もなく歩き続けた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
109
下巻もやめられない一冊。奇妙な夢遊者たちの行進は止まることを知らない。なぜゾンビのような行進を続けるのか、なぜに選ばれたのか。上巻から増殖する謎、ラストのAIブラックスワンの言葉の意味も確かめるべく開いた下巻はブラックスワンが大きく存在感を放ち、グッと強まるSF要素に面白さがとまらないやめられない。そして上巻からの登場人物たち一人一人がものすごく意味のある役割を担っていたことを改めて知るたびに、綿密な構成と描き方に感嘆の吐息。まさかの壮大で狡猾なプランに言葉が出ない。これは続編があるのも納得の面白さ。2023/03/09
東谷くまみ
41
めっっっちゃ面白かった。上下巻合わせて1500ページなんて全然気にならないくらいの面白さ!!上巻ラストで感じたSFに振り切るのか!?という危惧もなんのその、確かにSF+パンデミックだけどかなりエンタメ要素満載で、まー、ページを捲る手が止まらない。あれよあれよと辿り着いたラストの展開は嘘でしょー!?とまさかのま状態😳致死率が極めて高い正体不明の伝染病、白人至上主義の武力集団、移動し続ける夢遊人(スリープウォーカー)たち…全てが交差した先にあるものとは。問われているのは未来だった―続編絶対読みます。2023/02/22
ぐうぐう
40
キングの『ザ・スタンド』、マキャモンの『スワン・ソング』は、終末を舞台とした善と悪の闘いを描いた傑作だが,その二作に多大なる影響を受けたと思われる本作も、当然のように同じ流れを汲んでいる。その流れは必然として、神について、もっと正確に言えば、人間が求める神についての物語へと帰結する。そう言う意味で、ブラックスワンと名付けられたAIの存在が最重要キーマンとなる。とはいえ、本作における人類の真の敵はウイルスではなく、人間の心に宿る魔であることが徐々に明らかになるにつれ、(つづく)2022/06/22
寝猫
30
旅は終わりに近づくなか、『ザ・スタンド』の様に悪の集団が力を持ち「夢遊者」達に襲いかかる。 『ザ・スタンド』とあきらかに違うのはAIブラックスワンの存在。 人類にとっての救済者なのか支配者なのか?ずっと考えながら読み勧めましたが、終盤にその謎も解けました。 分厚い本でしたが、すっかり話に引き込まれていました。 面白かったです。 続編もあるとか。和訳されるの待ってます。2022/08/24
わたなべよしお
22
止まらない、やめられない、という点では間違いない。パンデミック、終末、A Iをうまく組み合わせた、というところでしょうか。部分的に冗長なところもあるけど、読み手を引っ張っていく力量は大したものです。とはいえ、傑作SFとまではどうかな?ただ、B級というのは失礼だし、やはりA級?でも、続編はきっと読むだろうなぁ。2023/05/08