内容説明
二〇一九年に「創部百年」を迎えた東大野球部は、日本野球のルーツというべき伝統を誇る。戦火の中、沖縄に消えた英雄や、「赤門旋風」の主役たち、150キロ左腕宮台康平らへの徹底取材を通じて、謎を秘めた集団を解剖する。野球の「本質」と、ひとつの目標に向かってひた走ることの「価値」を思い出させる渾身のルポルタージュ。解説 桑田真澄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旗本多忙
16
東京六大学野球で、毎年春秋のリーグを戦っている東大は、創部以来優勝が一度もないのだが、不名誉な記録としては94連敗、64連敗などあり、4年間で1勝もせずして卒業した選手などもいる。約2,000試合で1割3分の勝率、どうしてこんな事があるのか。稽古不足?つまり猛勉強しての東大入学、さらには授業と野球の両立不可?監督が悪いの?選手個々の力不足?私学と国立の違い?全て正しくもあり間違いでもある。勝負事は勝たねばならないのだが・・・・・・一人一人の苦悩や努力する彼らを好きになった。必ず誠にノを入れる日が来る。2023/02/16
TOMTOM
5
東大野球部の歴史。最後の官吏沖縄知事の話もそうですが、なによりも4年間1勝もできずに卒業していった者たちの思いが、言葉が響きます。昇華できないその思い、連綿と続く歴史の一つなのだろうけど、でもその者たちに思いを馳せると言葉が出てこない。門田さんのノンフィクションの筆致にはほんとうにいつもしびれます。良著です!2022/06/19
Shotaro I
3
島田叡が東大野球部出身だったとは。映画『島守の塔』も観たくなった。第一番中学 (東大) に野球伝来してから150年の今年、秋季リーグ戦では東大の勝ち点に期待したい。2022/09/06
h_hukuro
3
最も勝利を求めていると言える東大野球部の歴史を追ったルポ。最後の官選沖縄県知事島田叡氏が今の東大野球部のOBであること、日本な野球の原点であることなど、初めて知る話が多く、現代に続く野球部の精神に胸を打たれました。2022/06/17
kaikoma
2
殊学業に関しては勿論、大学入学までは成功体験が圧倒的に挫折を凌駕している人たちの集まりだと思います。20年内外の人生の大半を野球に捧げている学生も珍しくない他の5大学とのリーグ戦とはいえ、卒業まで一勝も出来なかった学生の心情は如何ばかりかと。2023/11/27