朝日新聞政治部

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍
  • Reader

朝日新聞政治部

  • 著者名:鮫島浩【著】
  • 価格 ¥1,815(本体¥1,650)
  • 講談社(2022/05発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065280348

ファイル: /

内容説明

「吉田調書事件」の当事者となった元エース記者が目にした、崩壊する大新聞の中枢
登場人物すべて実名の内部告発ノンフィクション

地方支局から本社政治部に異動した日、政治部長が言った言葉は「権力と付き合え」だった。
経世会、宏池会と清和会の自民党内覇権争い、政権交代などを通して永田町と政治家の裏側を目の当たりにする。
東日本大震災と原発事故で、「新聞報道の限界」をつくづく思い知らされた。
2014年、朝日新聞を次々と大トラブルが襲う。
「慰安婦報道取り消し」が炎上し、福島原発事故の吉田調書を入手・公開したスクープが大バッシングを浴びる。
そして「池上コラム掲載拒否」騒動が勃発。
ネット世論に加え、時の安倍政権も「朝日新聞バッシング」に加担し、とどめを刺された。

著者は「吉田調書報道」の担当デスクとして、スクープの栄誉から「捏造の当事者」にまっさかさまに転落する。
吉田調書報道は、けっして捏造などではなかった。
しかし会社は「記事取り消し」を決め、捏造だとするバッシングをむしろ追認してしまう。
そして、待っていたのは「現場の記者の処分」。
このときに「朝日新聞は死んだ」と、著者は書く。

戦後、日本の政治報道やオピニオンを先導し続けてきた朝日新聞政治部。
その最後の栄光と滅びゆく日々が、登場人物すべて実名で生々しく描かれる。

【目次】(抜粋)
◆第一章 新聞記者とは?
記者人生を決める「サツ回り」
刑事ドラマ好きの県警本部長

◆第二章 政治部で見た権力の裏側
政治記者は「権力者と付き合え」
清和会のコンプレックス
小渕恵三首相の「沈黙の10秒」
古賀誠の番記者掌握術
朝日新聞政治部の「両雄」

◆第三章 調査報道への挑戦
虚偽メモ事件
社会部とは違う「調査報道」を生み出せ!
社会部出身デスクとの対立

◆第四章 政権交代と東日本大震災
内閣官房長官の絶大な権力
小沢一郎はなぜ総理になれなかったのか
原発事故が突きつけた政治部の限界

◆第五章 躍進する特別報道部
福島原発の「被曝隠し」
「手抜き除染」報道と特別報道部の全盛期

◆第六章「吉田調書」で間違えたこと
吉田調書取材班の結成
吉田調書報道の「小さなほころび」
危機管理の失敗
動き始めた安倍政権
「池上コラム問題」はなぜ起きたのか
衝撃の木村社長会見

◆第七章 終わりのはじまり
バッシングの嵐と記者処分
ツイッター騒動と「言論弾圧」
東京五輪スポンサー

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

157
今年4月段階で全国紙5紙は1年間に114万部減った。特に朝日は44万部減で500万の大台を割り込み、もはや回復不能の重病人だ。そんな朝日が世論をリードしていた時代は光り輝いていたが、過去の栄光にあぐらをかいた高いプライドは傲慢さに変質していた。大誤報をやらかしても上層部は原因究明など気にもかけず、自分の名誉を守るため事件を利用するほど官僚化した現状をさらけ出している。そんな上から目線のご高説を垂れ流す新聞に、ネット時代の消費者は容赦しない。「昔、朝日という新聞があったな」とされる日は、確実に近づいている。2022/07/04

trazom

135
中島岳志先生が「生きたジャーナリズム論」とPRしておられる話題の一冊だが、私には、ジャーナリズム論というより、朝日新聞社の体質に対する内幕本であり、サラリーマンが好きな社内人事の評論本であり、自らの業績を誇示する自伝として読めてしまう。確かに、発行部数が急落し、旧来的な取材プロセスが崩壊する新聞メディアの問題点はよくわかるし、それに対する著者の危機感も理解できるが、公憤以上に私憤が卓越していて、余り心地よい読後感ではない。ただ、この著書の文章の上手さは曲者。描写に臨場感があり、一気に面白く読めてしまう。2022/08/07

まーくん

134
元朝日新聞政治部記者による内幕もの。総理や官房長官の記者会見などで質問する姿や政治家を取り囲んで、ぶら下がり取材する姿で見かけるが、あまりにも違う世界の事ゆえ、よく実態がわからなかったが、遠慮したい粘着質な世界のようだ。著者は紆余曲折ありながらも、エリート記者の道を進むが、吉田調書(福島第一原発吉田昌郎所長)誤報問題に巻き込まれ、記者の道を絶たれ、6年半後49歳で退職・独立。さすが新聞記者、大新聞社の社内セクショナリズムとの戦いを記す文章は読み易く、半沢直樹の小説のようで惹きこまれ、不謹慎ながら面白い。2022/08/01

R

96
自身の新聞記者としての過去を描いた、ノンフィクション的な本でした。政治記者としての仕事、実際にあったこと、どのように政治家と付き合うかという新聞人としての在り方なんていうのが、知らない世界の話だから面白い。企画者としてもいくつか仕事をなしていたようなのだけども、昭和の名残ある新聞人として政治家との付き合い方、そこから見えた、政治家の姿という話が面白い。なるほどと思う関係だが、構造的に歪んでるなと感じる。お互いの利用が社会利益とは異なるところに着地してるんじゃと疑ってしまうが、人間臭いともいえる。2022/08/06

TakaUP48

92
福島原発の「吉田調書」、慰安婦報道「吉田証言」、社長の一声で掲載不可「池上コラム」の3点セットの危機管理対応の失敗は、経営陣の保身からか。リベラルの雄として走り続けてきたプライドが邪魔したのか。中途半端に賢い人は、素直に謝らず、言い訳か逃げを考える。他人を責め続ける人間は、自分の護り方がわからない。朝日新聞の政治部内の動向と、社内の権力争いや「おともだち人事」が実名で語られていて、面白い。栄光と滅びゆく日々が、生々しい。新聞も「権力」であることを踏まえての報道姿勢が、最近は幼稚だ。何処へ行くのか、朝日!2022/08/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19543468
  • ご注意事項