名もなき子

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名もなき子

  • 著者名:水野梓【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • ポプラ社(2022/05発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 540pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784591173886

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内容説明

テレビ局に在籍し、ドキュメンタリー番組の制作を手がける美貴。ある日、高齢者施設で不審死が相次いでいるとの週刊誌の記事が目に留まる。その後、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。書面には「何も生み出さない高齢者は『社会悪』だ」などと書かれていた。取材を進める美貴は、偶然の出来事から悟と名乗る青年とかかわるようになる。悟の生きてきた道程を知った美貴は、この国が抱える深い闇の存在に強い衝撃を受ける--。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

181
く、苦しい。自分の本音を吐けと突きつけられているような読書だった。ベールに覆われた、さも真っ当なような答えなどくそくらえだ。とは思うものの希望とかいつか・・とかそんなこと(きれいごとだろうか)も思わせてくれるから人間は面白いのだな。デビュー作で出会った榊美貴のシリーズ作品になるのだろう本作は、この国の数多ある闇をまた一つ問題提起している。無戸籍、介護施設、安楽死・・いつまで?とか誰の為の?とかグルグル心は揺れに揺れ、12章でホッと息を吐いた。ただ、ハルの最後の行動は哀しすぎるよ。2022/06/07

nobby

151
完全に榊美貴パート2。タイトルままの無戸籍に老人介護、虐待、貧困など、もう思いつく限りの社会問題を掘り起こす…重苦しいばかりのテーマを軽快に読ませるリーダビリティは前作を凌ぐ勢い!施設や病院で相次ぐ高齢者の不審死、そこから浮かび上がる「何も生み出さない高齢者は社会悪だ」という提言…そこに正義を振り回すのには違和感だが、全力で否定出来ない葛藤…逆に優生思想での誕生する新しい命への威圧…ありえないと憤る自分の思いすら当事者でない故なのか…人が人として生きる、最も単純なことを履行出来ないヒトの愚かさをまた憂う…2022/06/15

ちょろこ

147
現実が届く一冊。高齢者施設での不審死。その謎に迫る傍ら炙りだされていく幾つもの社会の現実。いきなり"価値のない命"の言葉が目にきつく飛び込む。そこから命のトリアージ、無戸籍児、AI、命の尊厳と、枝葉のように広げながらも丁寧に見せていくのが相変わらず巧い。その都度心に拾わざるを得ない。誰もが当たり前に生きる社会をうたう社会。その裏側に蔓延る壁。小さな埋もれそうな現実が苦しく届く。少しでも関心を、耳を心を傾ける必要性を痛感。子が当たり前の未来を得られない一因を垣間見た終章に最後まで著者の伝えたい思いを感じた。2022/07/08

モルク

135
高齢者施設での相次ぐ不審死。自殺と見なされていたが、テレビ局で製作をしている美貴は疑問を持つ。そして青年悟を拾い家に連れてきて面倒を見る。病院へ連れていこうにも彼は無国籍であり保険証も身分を証明するものもない。その他にも高齢者の医療問題、性的虐待、ネグレクトと多岐にわたる問題提起がある。てんこ盛りだがその分ミステリー部分は薄れる。前作「蝶の眠る場所」の続編であるが、幼い子供を抱えているのに美貴の向こう見ずな行動には驚かされる。そして最終章、全てが明らかに…なんかやりきれない、ムムム…2022/07/27

タイ子

101
榊美貴シリーズ第2弾。高齢者施設で相次ぐ不審死。美貴が助けた青年。首相官邸、メディアに届く犯行声明。やがてそれらは一つの線となり、日本社会、高齢化社会に問い掛ける問題提起となっていく。そこには家庭虐待に苦しむ家族がいて、子供を無戸籍のまま育てる親がいて、子供は親を選べないまま大人に。高齢者が施設に入り、寝たきり状態になった時彼らに生きる資格はないのか。否、どんな状態であれ生かされる命は尊ばなければならない。そこには、困窮者や生命を守る人が必要になる。彼らの伸ばす指の先に差し伸べる手が増える事を祈りたい。2022/11/05

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