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内容説明
変わっていく世界と、ぼくたちのいらだち。
与えられた剣と鎧はどうやって手放したらいい?
映画や漫画など様々なコンテンツから、近年のフェミニズムの興隆の中で男性はどう生きるべきかを読み解く、画期的な文芸批評。
【目次】
はじめに
第一部 僕らは何を憎んでいるのか
第一章 能力と傷──ポストフェミニズム時代の男性性
第二章 やつらと俺たち──階級と男性性
第三章 男性性のいくつかの生き残り戦略──助力者と多文化主義
第二部 男性性、コミュ力、障害、そしてクリップ
第四章 『もののけ姫』と障害者の時代
第五章 コミュ力時代の男たち
第六章 「これは私の吃音だ!」──「個性」としての障害と治癒なき主体というユートピア
第三部 ライフコースのクィア化、ケアする男性
第七章 母の息子のミソジニー、母の息子のフェミニズム
第八章 ぼくら、イクメン
第九章 老害と依存とケア、そしてクィアな老後の奪還
おわりに──ケアする社会へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒデミン@もも
47
表紙とタイトルのイメージとは違い中身が濃い。好きなドラマや映画、漫画などの解説もありなるほどなぁと感心するが、私はあんまり考えずに作品そのものを楽しみたい派。女性問題または男性問題と言われること自体が古いと思われる時代が来ることを待ち望む。2022/07/15
katoyann
20
新自由主義体制を批判的に捉えながら、女性との間の平等を支持する新しい男性性をいかに再構築するかという課題について、様々なポピュラー文化のテキストから読み解くという実験的な研究書。難解である。ヘゲモニックな男らしさに変化が生じ、育児を含め、ケアする男性が求められている。その際、問題になるのは、ケアを個人の努力に委ねる言説のイデオロギー性にある。福祉をカットするのが新自由主義の理想であるため、育児も介護も個人の自助努力にされてしまう。ケン・ローチの『家族を想うとき』など様々な作品の分析が面白い。2022/09/05
まゆまゆ
16
フェミニズムの対岸にある男性の性について、映画やアニメ作品をもとにこれまでの変遷を語っていく内容。女性軽視を否定するのではなく、かといって男性優位を肯定するものでもない、男性も性に苦しんでいるのだから、お互いに共通理解が進めばいいよね……と。単なる二項対立ではすまない男女差を考える上でのヒントは芸術作品にあらわれる……のかな。2022/09/05
マカロニ マカロン
8
個人の感想です:B。「ポストフェミニズム状況における男性性」が主題。男性性は社会で権力性、マジョリティ性、暴力性、加害性を持ち、対して女性、子ども、障害者、LGBT+は男性性の被害を受けているという視点は正しいのかと言う点を、主に近年公開された映画を例に挙げながら分析していく。例題として『ジョーカー』、『アナ雪』、『もののけ姫』、『エヴァンゲリオン』、『きのう何食べた』等など多数の映画を挙げるが、半分ぐらいしか見たことがなく、ピンとこない。また、ポストフォーディズム、ポストメリトクラシー等の用語が難しい2023/02/14
ムチコ
7
さまざまな映画やマンガ作品等をひもときながら現代の男性性について考察されており、なじみのある作品が多かったので(マイクミルズが重視されており頻出します)興味深く読んだ。男性性を追う構成ではあるが男性に限らず人間の成熟というような視点を感じ、特に「隠居」を受け入れられないという指摘はなるほどねと思いました。しかし男性性とかポストフェミニズムみたいなことを取り上げる本を当の男性はびっくりするほど敬遠するので(当事者になりたくないんだと思う)、その点でこの本のタイトルは少し読者を遠ざけてしまうかもしれない。2022/07/13