内容説明
米国家安全保障局の不可侵と思われたシステムに侵入したのは、英国の18歳の若者だった。引き渡しを要求する米国。英国安全保障のアドバイザーであるウィンストンは、英米両首脳に〈トロイ作戦〉と名付けた諜報活動を提案、この天才ハッカーに任務を与えた。コードネームは〈フォックス〉。手始めにロシアの巡洋艦をハッキングしたフォックスは、対外情報局に命を狙われることになる。実在事件を基にした、緊迫の国際軍事サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
61
アメリカのNSAのコンピューターをハッキングしたイギリスの18才の少年はアスペルガー症候群だったが、コンピュータの扱いは天才的で世界中のシステムに痕跡を残すことなく侵入できた。イギリスの諜報機関は、アメリカに、この少年を雇うことを提案、ロシアやイラン、北朝鮮のシステムに侵入させるトロイの木馬作戦を実行する。ハッキングが上手くいきすぎている気もするが、かなり頻繁に乗っ取りのニュースが流れるところからすると、こういう話からもあながち大ボラとはいえないのではないかと思う。2023/12/22
syota
34
フォーサイス初読み。コンピュータのハッキングという最先端の題材を取り上げた小説を、80歳のベテランが書くのだからすごい。18歳の天才ハッカーを利用してロシアやイラン、北朝鮮を撹乱する英国情報部と、報復のためハッカーを狙うロシア情報部。情報機関どうしの暗闘に焦点を当て、コンピュータに関する技術的、専門的内容を最小限に絞ったのが成功の要因だと思う。いささか現実離れしていると感じる部分もないではないが、快適なテンポで話が展開する上質のエンタメ小説だ。2024/02/05
みやび
15
アスペルガー症候群の天才的ハッカーがキーパーソンではあるけれど、彼を匿いながらロシアやイラン、北朝鮮の軍事機密に侵入させているのはイギリスの元諜報員ウェストン。騙し合いは面白いけれど、実在の人物や事実を織り混ぜながら描かれる世界情勢や歴史はリアルで、なんであの人は実名出せないの…なんであの国は出てこないのと恐ろしいです。ラストに向けて急にフィクションぽくはなるけれど面白かったです。2025/10/02
智哉
10
天才ハッカー青年の頭脳を武器に、敵対国の脅威に大打撃を与えた挙句、報復には欺瞞作戦を仕掛けて、特殊部隊を抹殺する。情報機関の実力差はあれど、何もかも意のままにやりたい放題。イギリスがここまで大胆なことをやってのけるか。2022/11/26
nabe
9
読んでいる最中に起きた自衛隊ヘリの墜落事故。ウクライナ戦争中にパイプラインの事故が実際に起きたので、この墜落ももしや?などと思いながら読み進んだ。敵味方の場面転換が細かく、同時進行的な展開が緊張感があって良かった。2023/04/15
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